■世界進出も全敗のJ-POP!これまでの黒歴史と希望

 今回全米進出を宣言したAdoや、全米デビューを果たすTravisJapanだけではなく、これまで数々のJ-POPのアーティストが世界進出を果たしてきた。

 しかし、その結果はというとーー。

「これまで世界進出を宣言したJ-POPアーティストというと、X JAPANを思い出す人も多いと思います。1989年にメジャーデビューをした後、1992年にワーナーミュージックと契約し世界進出を目指すも、実情は成功とは言い難い結果でした。

 世界進出後にリリースされた彼らの最大のヒット曲『Tears』(1993年)の売上枚数は83万枚で、これは世界進出前にリリースされたシングル『Say Anything』(1991年)の売上枚数53万枚と比べて、わずか30万枚増えただけでした。

 その後は売上が急降下し、ラストシングルの『THE LAST SONG』(1998年)は9万枚という結果に終わっています。ライブシーンではカリスマ的な人気を誇りますが、“売上”という部分では微妙なところです」(芸能誌記者)

 他の世界進出を果たしたアーティストはどうか。

「X JAPAN以外にも、テクノポップユニットのPerfumeも2012年頃から海外公演を始めました。しかし、こちらも海外進出をして売れたと言えるのか分からない状態でしょう。

 アメリカの人気野外フェス“コーチェラ・フェスティバル”に出場するなど、海外人気を謳っていますが、シングル13枚目の『レーザービーム/微かなカオリ』(2011)で12万枚を記録した以降は売上が減少し、今年3月に発売した27枚目シングル『Flow』では、2万枚と全盛期に遠く及ばない数字でした。国内でもオリコン週間ランキング5位という結果に終わっています。

 さらには、日本を代表する歌姫のひとりである宇多田ヒカル(39)さんも、2004年に全米進出しています。当時日本では絶大な人気を誇っていた宇多田さんですが、満を持して“Utada”というアーティスト名で全米デビューを果たすも、結果は全米チャート初登場160位と惨敗した苦い過去があります」(芸能誌記者)

 これまで数々のアーティストが世界進出を宣言してきたが、その後は、しれっと日本での活動がメインになるのがお決まりのパターン。しかし、今回のAdoやTravisJapanは、これまでのアーティストと違う点があるというーー。

「Adoさんは、自身のYouTubeチャンネルにこれまでリリースしてきた楽曲MVを投稿しており、その全てに英語やスペイン語などの外国語字幕をつけています。

 このことで、海外のファンがAdoさんの楽曲に触れることができて、コメント欄には日本のアーティストにはめずらしく、外国語のコメントが多いことが特徴です。また11月に北米公開されるワンピースの新作映画『ONE PIECE FILM RED』に登場する重要なキャラクター“UTA”(ウタ)の歌唱パートを務めたのがAdoさん。ニューヨークの世界的な観光スポットであるタイムズスクエアを、ワンピースの映画がジャックし、ファンが殺到したことも話題になりました。

 この超強力なブーストがデビュー前にかけられたAdoさんは、全米でも通用するんじゃないでしょうか。

 また、TravisJapanはデビュー前にアメリカ留学をしていた際に、世界的なダンス大会『World of Dance Championship WEEK 2022』で、観客賞を受賞したり、公式YouTubeやインスタでは英語で投稿するなど、デビュー前にもかかわらず海外ファンに向けてのコンテンツ作りを徹底しています。

 このように、デビュー前からの海外に向けてのマーケティング活動が、これまでの海外進出したアーティストとは違うポイントだと思いますよ」(芸能誌記者)

 これまで全米進出の壁をなかなか超えられなかったJ-POP。Adoとトラジャの2組には、ぜひとも成功してほしいーー。

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