■《TBSで最初に企画を出したときは、案の定、却下されたんですよ》と脚本家が明言

 インタビューによると、渡辺氏は2016年にTBSの敏腕女性プロデューサーS氏と「ラブコメ企画」のために出会ったが、話を重ねるうちに《どうやらこの方と組んでやるべきはラブコメじゃなさそうだぞ》と感じたとのこと。その後『エルピス』の方向性が定まったが、

《TBSで最初に企画を出したときは、案の定、却下されたんですよ。こんなにハレーションを起こす、つまり波風を立てるリスクの高い脚本はできない、と》

 ということであえなく局に断られてしまったという。S氏は逆に非常に協力的で、「8話くらいまでの脚本(当時)」を書きあげたところ「いろんなところに掛け合ってくれた」そうだ。

「その女性プロデューサーのS氏はTBSを退職して2020年にカンテレに転籍しました。企画は宙ぶらりんになったままでしたが、ここでかつて東宝芸能で長澤さんをスターダムに押し上げた立役者として業界で名を馳せている、敏腕マネージャーN氏が“あの企画を進めるのはどうでしょう”とS氏に勧めたことで、カンテレ制作で動き出したということのようです」(制作会社関係者)

 なお、S氏がカンテレを選んだ理由は先述の『現代ビジネス』のインタビューにて渡辺氏が、

《「カンテレがこの企画をやらせてくれそうなので、私、カンテレに入社します!」と不死鳥のように復活してきたんですよ。それで今、なんとか実現しつつあるという感じです。私は、まだなんかあるんじゃないかと半信半疑でいますが》

 と語っている。

「その結果『エルピス』は、TBSの『日曜劇場』などではなくカンテレ制作、フジテレビ系での放送になったわけですね。

『エルピス』の初回視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)は、世帯が8.0%、個人が4.4%と、手放しに“高い”と褒められる数字を出したわけではないですが、これまでのドラマでは描かれなかったキー局の生々しい報道の姿などの描写から、注目度は非常に高い。

 TBSと言えば、“報道のTBS”と呼ばれた存在で、現在も硬派な報道番組『報道特集』などの評価は抜群に高い。真摯な報道姿勢が知られる局だけに、もし、出水アナの2度の『FRIDAY』の件がなかったら……もしかしたら、もっと早くTBSでドラマ化されていたのかもしれませんね」(前同)

 10月31日22時からは第2話が放送予定の『エルピス』。長澤のリアリティあるアナウンサーの演技が評価されている同作は、多くの視聴者を獲得し、企画をボツにしたTBSを見返すことができるだろうか――。

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