■ジャニー喜多川氏や後輩への恩返し

 ジャニーズを長年研究してきた霜田氏にとって、滝沢氏はいったいどのような人物に写っているのだろうか。

「滝沢氏は、“恩義に生きる人”といった印象ですね。今回社長と副社長を辞めるのがどういう理由かはわかりませんが、社長を引き継いだのもJr.の育成をしたのも、ジャニーさんへの恩返しが大きいと思います」

 滝沢氏は過去に、ジャニー氏から「Youに10あげるから1返しなさい」と言われたことを話している。その後、ジャニー氏は〈チャンスや環境、全てを与える。あいさつは1だ。だから最低限、あいさつはしろ〉※と話し、滝沢氏は〈本当に全てを与えられていたので、少しでも返したいんですけどね。ただ、与えていただいたものの大きさを考えると、どんだけ恩返ししても足りない〉※と明かしていた。

「滝沢さんは、引退直前のタイミングで中居正広さん(50)に“いくつ返せた?”と尋ねられ、“まだ1個も返せてない”と答えているんですよね。おそらく、滝沢さんご自身が裕福ではない家庭に生まれ、ジャニーズから芸能界入りして大ブレイクしたという点で、環境に感謝をする方なんだと思います。それこそ『義経』のような、武士のように、育成という形で自分に尽くしてくれた後輩に恩義を返す、恩義に生きる人だと思います」

 滝沢氏はジャニーズ事務所から去ることになったが、彼がアイドルとして、社長として成し遂げたかったこととは一体何なのだろうか。

「アイドル時代の後半は舞台が中心でしたね。ジャニーさん自身も舞台に重きを置いている方だった。これは想像の域を出ませんが、滝沢さんが舞台を頑張ることも、ジャニーさんの世界を体現するという意味で、ジャニーさんへの恩返しの1つなのではないでしょうか」

 井ノ原氏がジャニーズアイランドの社長に就任することで、今後ジャニーズにはどのような変化があると考えられるだろうか。

「正直、井ノ原さんの社長就任は未知数です。後輩には優しい方なので、そういう意味ではJr.の育成に向いているのかもしれないですけど……。滝沢さんは映画化もされているミュージカル『少年たち』のような、“ジャニーズの摩訶不思議な世界”を後輩に残そうとしていたし、ご自身でもその世界を作ることができる方です。

 井ノ原さんもの映画『ピカ☆ンチ』の原案を担当するなど、クリエイティブな面もあります。ただ、井ノ原さんは“ザ・ジャニーズ舞台”の人ではないし、“ジャニーさんイズム”の真横にいた方ではないですね」

 ファンに大きな動揺を呼んでいる滝沢氏のジャニーズからの決別。今後、いったいどのような影響を及ぼすのだろうか――。

※『Myojo』(集英社)2015年5月号より

霜田明寛(しもだ・あきひろ)ジャニーズ評論家。2009年に初の書籍を出版、2016年から『永遠のオトナ童貞のための文化系WEBマガジン・チェリー』編集長を務め、エンターテインメントを紹介。就活アドバイザーとしても活動している。著書に『ジャニーズは努力が9割』(新潮社)、『面接で泣いていた落ちこぼれ就活生が半年でテレビの女子アナに内定した理由』(日経BP)などがある。

 

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