■『ちむどんどん』本編の嫌なところを思い出す

『賢秀望郷編』と『歌子慕情編』は、大不評だった本編と比べると面白かったのだろうか。『ちむどんどん』本編放送の当時と比べ、やや炎上の勢いは収まっているようだが――。

「歌子の話は、歌子の幼少期を演じた布施愛織さん(10)と上白石萌歌さんの絡みがあって微笑ましく、まだよかったのですが、賢秀は相変わらずな感じでした。

 ただ『歌子慕情編』では、5月14日放送の第26話で賢秀がボクシングジムの仲間からお金を借りて逃亡した件、『賢秀望郷編』では6月6日放送の第41話で賢秀が手を出した“紅茶豆腐” なる詐欺まがいの健康食品などの金銭トラブルや借金がらみのエピソードがありましたし、やたらと過剰なBGMも本編と同じで、“面白いでしょ?”と無理やり押し付けられる作りは相変わらずでした。 テイストや演出はどちらも本編と同じで、“そうそう、この感じが毎朝嫌だったんだよなぁ”という悪夢が蘇りました(笑)。

 また『#ちむどんどん反省会』などのタグで賛否両論となった本編の放送当時よりもSNSで炎上していないのは、朝ドラは生活習慣と視聴習慣が結びついていること、そして最終回がビックリ展開から約40年も時間を一気に飛ばすという“最後まで過程を描かなかった”ことが大きいですね。

 本編が始まる前に〈“最終回がこうなる”ということを初めに決めてから、第1週の本を作るという新しい挑戦をしました〉とドラマの政策統括がインタビューで語っていたので、“そこまで言うなら、最終回はどうなるのか?”という思いだけで見続けた視聴者に呆れられて“もういいよ”となり、4KやBSでのスピンオフをわざわざ見る視聴者は少なかったのでしょうね」(成田全氏=以下同)

 視聴者から大きく不評を買った借金問題がふたたびスピンオフでも登場していたようだが、本編とはまた違った試みもあったようだ。

「歌子は本編で沖縄民謡に加え『椰子の実』と『翼をください』の2曲を歌っていましたが、今回は『ひょっこりひょうたん島』のテーマソングや吉田拓郎さんの『結婚しようよ』、南沙織さんの『17才』の歌唱を披露していました。さらに、石丸謙二郎さん(69)演じる比嘉家の大叔父・賢吉おじさんが、賢秀から買った紅茶豆腐を見て激怒、“お前たち家族全員脳みそがないのか!”、“借金で首が回らんくせに、こんなもんに有り金全部つぎ込んで!”と絶叫する比嘉家叱責シーンは完全に振り切ったハイテンション演技で視聴者の声を代弁、溜飲が下がりました(笑)」

『ちむどんどん』本編の炎上は、日を追うごとに増していった感があったが、現在でも黒島に関して『クロサギ』(TBS系)の収録現場では、「『ちむどんどん』が大変だった」と受け取られないように、「大変だね」という言葉を発することが禁じられていると、11月11日配信のWEB版『女性自身』が報じるほど。今回放送された、メインキャスト4人のトークはどのような雰囲気だったのか――。

「やや腫れ物に触るような空気もありましたが、黒島さん、竜星さん、川口さん、上白石さんの4人は和気あいあいとしていました。

 一つ驚いたのが、黒島さんが沖縄独特のクバの葉の扇“クバオージ”について話しているとき、“ずっとこれは結菜自身が馴染みのあるものだったの”と、一人称を自分の名前で話していた点です。これほどフランクに話すということは、約1年間、現場を共にしてきたキャストやスタッフ陣にすごく心を許していることの表れなのだろうな、と思いました」

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