■『エルピス』は制作陣の熱量が現状、結果にはつながらず……

 前出の制作会社関係者は話す。

「大人以上に、舞台が小児集中治療室だけあって子役の存在感が大きいドラマです。有名どころではNHK連続テレビ小説舞いあがれ!』や今年6月クールの『オールドルーキー』(TBS系)で活躍した稲垣来泉さん(11)などもゲスト出演していたので、10数年後に“実はあの人気俳優がこのドラマに!”という感じに再評価されそうな気がしますね。

 ただ、ここから後半戦で良い視聴率を残せるかと言えば、どうでしょうね……」

 期待の大きかった『クロサギ』と『PICU』の意外な苦戦が続いている状況だが、その2作以上に制作陣の熱量と視聴率に乖離が見えてしまっているのが――。

長澤まさみさん(35)の主演ドラマ『エルピスー希望、あるいは災いー』(フジテレビ系)ですね。『エルピス』は初回(10月24日)の時点で世帯8.0%、コア2.7%でそこまで高い数字ではありませんでしたが、第3話(11月7日)では世帯6.3%、コア1.9%にまで落ち込んでしまっています。あれだけ豪華なキャストで、かつ放送前からかなり話題になっていたのに、コア2%切りは相当しんどい展開でしょうね。

『エルピス』は、これまで描いてこなかったテレビ業界の報道や政界の生々しい“負の側面”を描いたシナリオ、本物の女子アナにしか見えない長澤さんを筆頭にした演技力の高いキャスティング、そして何よりまるで映画のような画質やカメラ割の映像など、制作陣の熱量が高いだけに、結果がついてきていないのが非常に惜しい作品ですね。

 第4話(11月14日)では“再審請求の返事まで10年かけた上に棄却した”という国の対応を、“被告の獄中死が狙いなんじゃないか”というめちゃくちゃ攻めたセリフもありましたが、これから先は、さらに攻めた内容になると聞いていますね」

 本作の大筋は「落ち目の局アナの浅川恵那(長澤)が冤罪疑惑のある死刑囚をめぐる真相を追求していく」というもの。

「腰を据えて観ると重厚な世界観で非常に満足度の高い作品ですが、裏を返すと1話でも見逃すと話についていけなくなってしまうし、内容も暗いので気軽には見れないということでしょうね。

 ちなみに、細かく作り込んだ世界観が評価されている一方で、“2018年(現在)と2006年(事件当時)が交錯しているシーンなのにスーパーの生肉の賞味期限が2022年になっている”という非常に惜しい凡ミスも指摘されていました。

 一方、舞台が2018年なのに、エンディング映像に登場するケーキの箱に記載された賞味期限が第1話をオンエアした“2022年10月24日”になっていること、『エルピス』とは『パンドラの箱』に関するワードのため、“ケーキの箱をパンドラの箱に見立てた意味深な伏線ではないか”と考察するファンもいますね」

 非常に攻めた内容であるし、実際に見た視聴者からの評判は上々の『エルピス』。日本ドラマ史に名を残す名作になるポテンシャルは十二分に秘めていると思われるが、それだけに、ここまでの視聴率の低空飛行ぶりが残念でならない。

「『エルピス』は配信などで全話一気見したい作品です。本当に映画のようなクオリティで、一度見ればどんどん見たくなる。しかし、週に1度の放送という地上波の連ドラとしては、視聴にあたってのハードルが高いところがあるのでしょうね……」

 当初の期待を、数字的には裏切ってしまっている感じの『クロサギ』、『PICU』、そして『エルピス』。平野、吉沢、長澤、誰もが評価する大人気俳優、タレントの3者は、後半戦で大逆襲を見せてくれるだろうか!?

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