■どんな大物相手でも物怖じしない豊かな経験

 上海を舞台にした第5話は、現地感あふれるロケーションと美術、中国語が巧みなキャストを揃えるなど、大変、素晴らしかった。上海編だけで映画が1本制作できるほどのスケールと濃厚なストーリーで見応えがあった。

 また、黒崎が、マフィアのボスに見せる物怖じしない強い目線は、やるかやられるかの強い意志とギリギリの戦いであることが感じられ手に汗を握ってしまった。煌びやかなマフィアのアジトでボスに提案する時の自信たっぷりで余裕のある表情と、寂れた街の裏側で暴行を受け銃口を額に当てられても目線を逸らさず相手を凝視するのも、見ている側がヒヤヒヤするほどに緊張感があった。

 だけど、黒崎は自信を持ってやっていることだから、飄々とやっているようにも見える。それは、演じる平野がこれまで経験してきた、舞台や映像作品の現場で座長を務めてきた経験が生きているのだろう。舞台中央である0番に立つ重責、座長としての立ち居振る舞いなど、数々のプレッシャーに向き合い、それを乗り越えて実績を積んできた。

 信念を持っていれば、立ち位置がブレることがない。これは御木本を破滅させるためなら、身の危険を感じても果敢に攻める黒崎に通じる。

 そして、最大の敵だと思っていた御木本だったが、最後に意味深なことを告げ、黒崎の復讐を終わらせないところがいい。ひっそりあらわれていたが、次の強敵はメガバンクのエリートバンカー・宝条(佐々木蔵之介/54)になることを予感させた。これまた豪華なキャストではないか。鳥肌が立ってくる。またヒリヒリする展開が待っていそうで、目が離せない。(文・青石 爽)

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