■あえて「厳しい意見」発表で受信料を徴収

 レポート『月刊みなさまの声』を実施しているNHKの思惑は一体何なのだろうか。小田桐氏は、「受信料対策の一環ではないでしょうか」と話す。

「NHKには東京や大阪などの大都市圏を含む全国の放送局に、視聴者の問い合わせや番組に対する感想・意見を聞く部署、担当者がいます。ピーク時には年間400万件を超える視聴者の意見が寄せられていました。

 受信料で成立しているNHKにとって、視聴者の意見に耳を傾けるのは重要な仕事です。その内容は理事会や経営委員会に報告されています。その意味では受信契約、受信料徴収のための大事なツールだと思われます」(小田桐誠氏=以下同)

 その他にも、NHKが重視する「接触率」という指針があるという。これは、NHKのテレビ、ラジオ、ネットの番組やイベントなど、“NHKがやっていることに対して1週間に5分以上接触している人がどのくらいの割合でいるのか”を示している。

「受信料で成り立っているNHKとしては、なるべく多くの人に接してほしいと考えている。大都市圏などでは受信料徴収に苦労しているようですが、現状罰則があるわけではない。寄せられた視聴者の声を具体的に番組制作へ役立てているかはともかくとして、視聴者にNHKを理解してもらう宣伝ツールの1つとしての意味合いもあるのではないでしょうか。

 “好評意見だけでなく、厳しい声も聴きますよ”という点をアピールし、それが結果的に受信料の収入アップにつながればいいと考えていると思われます」

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