■配信1億回再生が選出の目安か

 まず、初出場の10組について、Kei氏は「妥当な選出だと思います」と話す。『紅白』公式ホームページでは、出場するアーティストの選出基準として〈1.今年の活躍 2.世論の支持 3.番組の企画・演出〉の3点を挙げている。

「選出基準の“1.今年の活躍”に関してですが、CDの売り上げのほか“インターネットでのダウンロード・ストリーミング・ミュージックビデオ再生回数・SNS等についての調査”とあります。これはCDの売り上げだけに基づくランキングよりも、社会的ヒットの実態を反映しているビルボードジャパンのチャートを参考にしていると考えられます。

 今回選ばれた10組は、なにわ男子以外の全てのアーティストがサブスクを解禁しています。近年ではサブスクや配信での大きなヒットの基準として“1億回再生”があるのですが、ほとんどの歌手が1億回再生を突破しているので、これを基準にしているのではないかと感じました」(Kei氏=以下同)

 11月16日にビルボードジャパンが掲載した記事では、IVEが「ELEVEN」と「LOVE DIVE」の2曲が1億回再生されていることや、BE:FIRSTも「ByeーGoodーBye」がストリーミング累計1億回再生を突破していることなど、10組のチャートインの実績がまとめられている。〈出典:ビルボードジャパン、『第73回NHK紅白歌合戦』初出場組のチャートイン記録をおさらい〉

 初出場の10組は『紅白』出場にふさわしい実績があったようだが、やや意外にも思えた工藤静香(52)や篠原涼子(49)の出場は、Kei氏の目にどう映ったのだろうか。

「NHKは“周年”や“貢献度”を重視する傾向にあるのですが、工藤さんは、今年デビュー35周年記念としてセルフカバーアルバム『感受』を出されていて、それが評価されたのだと思います。今年はNHK『SONGS』にも出演しました。

 また、篠原さんは9月に『恋しさと せつなさと 心強さと 2023』を配信でリリースしています。これは憶測の域を出ませんが、この曲は2023年発売予定の『ストリートファイター6』の日本イメージソングでもあり、そのあたりも考慮されているのかもしれません」

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