■“演歌好きな年配の視聴者”は本当に『紅白』を見ているのか

 今年『紅白』に出場する演歌歌手は、石川さゆり(64)、坂本冬美(55)、天童よしみ(68)、水森かおり(49)、三山ひろし(42)、山内惠介(39)のほか、氷川きよし(45)が特別企画として出場。「年配の視聴者層切り捨て」との批判は的を得ているのだろうか。

「今40代の視聴者が慣れ親しんできたアーティストでいうと、福山雅治さん(53)、ゆずMISIAさん(44)などが選ばれています。さらに上の世代だと、鈴木雅之さん(66)、郷ひろみさん(67)が出場されます。

 今は“年配の視聴者層”と言っても、演歌だけを聴いてきた世代ではなくなってきているのではないでしょうか。ですから、今回の『紅白』は、一概に年配層切り捨てとは言えないと思います。もしくは細川たかしさん(72)が昨年特別企画枠で登場したようなことが今年もあるかもしれません」

 もはや、演歌に親しんできた年代が『紅白』のメインの視聴者層ではなくなっているのではないか――。ややショッキングな指摘にも感じられるが、2022年11月に総務省が発表した人口推計では、日本で一番多い世代は50~54歳で946万人、次点が45歳~49歳の944万人。彼らが慣れ親しんできた曲は、演歌よりも80年代~90年代のポップスである可能性は高い。

 また、Kei氏は「今年の『紅白』に出るのではないか」と思ったアーティストについて語ってくれた。

「個人的には『CITRUS』が3億回再生を突破したDa-iCEや、『W/X/Y』が累計3億回以上再生されているTani Yuukiさん(24)、『ロマンスの神様』がTikTokで流行した広瀬香美さん(56)などは出場してもおかしくなかったと思います」

『紅白』は70年以上も続いている人気番組。数十年後振り返ったときに「2022年」という年を表現するにふさわしいアーティストたちが選出されているのかもしれない――。

Kei(けい)
音楽チャートアナライザー。ブログ『イマオト -今の音楽を追うブログ-』管理人。青森県津軽地方在住で、地元ラジオ局でレギュラーDJを務めた経験もある。「TOKION」「uDiscoverJP」など、音楽メディアへの寄稿も行っている。

イマオト -今の音楽を追うブログ-:https://www.imaoto.com/

■番組情報
『第73回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)
12月31日 よる7時20分~11時45分(※中断ニュースあり)
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/kouhaku/

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4