大島康嗣(撮影・弦巻勝)
大島康嗣(撮影・弦巻勝)

 僕は55年に渡り、『ウルトラマン』や『仮面ライダー』といった特撮ヒーローを撮り続けてきました。その中で感じていたのは、やっぱりヒーローは、いつの時代も子どもの“憧れ”でなきゃダメ、ということ。

 時代の変化に合わせて、ヒーローも変わってきましたが、“カッコイイ”という点においては、時代に関係なくブレていない。そのカッコよさを写真で残さなきゃいけない。常にそう思いながら、シャッターを切り続けてきました。

 もともと僕は、前の東京五輪があった年に講談社に入社し、『少年マガジン』の巻頭グラビアの担当になりました。その仕事の中で、放送が始まった『ウルトラマン』の撮影現場に行くことになり、その日から特撮カメラマンとしてのキャリアが始まったんです。

 ところが、現場に行っても、撮影スケジュールが流動的で、何も撮れない日が多々あるんですね。

 そこから学んだことは「忍耐力」。僕からしたら写真を撮るというのは“狩猟”と同じ。そこには必ず獲物がいるわけですから、どうしたら狩れるのかということを考えました。

 そこで導き出した答えは、撮影スタッフとコミュニケーションを取ること。あいさつはもちろん、差し入れなんかも持っていって、カメラマンや照明の方とできるだけ交流するようにするんです。すると、今日はもう撮れないかなって日でも、“照明残すから撮っていいよ”なんて協力してくれるようになってくる。

 現場に行っても、なれなれしい態度じゃダメで、丁寧な言葉で接しなきゃいけない。そういうことを繰り返しているうちに、相手の呼吸や距離感も分かってくるし、こちらが欲しい写真が撮れる良好な関係が生まれてくるんです。

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