■慌てて走ると…リスク回避するには
まず、遠くにいるなら、ゆっくりと立ち去るべきだという。
「本州にいるツキノワグマは時速40キロ、エゾヒグマは、ウサイン・ボルトより速い時速56キロで走る。ただ、100メートル程度離れていれば、そっと逃げれば大丈夫です」(山岳愛好家)
また、数十メートルの距離で遭遇しても、慌てて走らない。
「急な動きをするとクマを驚かせてしまう。クマとの距離が近い場合は、両手を挙げて振り回しつつ、穏やかに何か話しかけながら、ゆっくりと離れること。万が一を考え、樹木など進路を塞ぐものを挟むように対峙するのがベター」(前同)
万が一、クマが接近してきても、落ち着いてほしい。
「あくまで威嚇が目的なので、実際は熊が途中で後退することがほとんど。市販されているクマ撃退用スプレーを持っている場合は、噴射の準備をしましょう」(キャンプ場経営者)
目の前で出くわし、襲ってきた場合はどうするか?
「首の後ろを手で押さえ、うつ伏せになって静かに熊が去るのを待つこと、すなわち“死んだふり”が推奨されていますが、これは運任せなんです」(前同)
黒川氏は現場を知るプロとして、こう助言する。
「私の弟子はナイフを持ってクマと対峙した経験がありますが、そのときは、腹の底から大声を出したら驚いて逃げたそうです」
最後に、子グマでも用心することが必要だ。
「近くに親がいて危険だからです。私の仲間も、子グマの近くにいた母熊と目が合った瞬間、襲われました。ふだんはおとなしい雌め すグマも、子どもを守るために向かってきますから」(前同)
最後に、“逃げ場”なしのケースではどうするか?
「クマの一撃を食らえば、顔はエグれ、首の骨は折れる。私が思うに、本気で襲ってきたら最後は戦うしかない。我々はそのために、ナタなどの刃物を持ち歩きます。つまり、静かに殺されるか、戦った末に死ぬか、ということです……」
そうなる前に、リスク回避を徹底してほしい。