■悠々自適の老後など“夢物語”
財務省はこれまで、社会保障財源化をお題目に89年の3%に始まり、19年の10%まで4回の消費増税を実施。21世紀に入っても、東日本大震災、コロナ禍などで新たな税制度を作り出してきた。
ところが、これらは、ほとんどの国民には還元されていない。
「アベノミクス下でも、景気回復を名目に公共投資で儲かったのは財界の大手企業、そして株屋(証券会社)。大幅に中抜きし、ほんのおこぼれしか一般国民には来てません。財界などは500兆円儲けたとの見方もあります。岸田政権下での今回の防衛費増大だって“死の商人”を太らすだけです」(前同)
こうした中、我々の暮らしは、どうなっていくのか?
「政府試算では、今の公的年金制度を維持するには、男性の4人に3人は70歳まで、さらにその半数は75歳まで働かないと成り立たない。要するに、庶民は元気なうちは生涯働かないといけない。“悠々自適の老後”などないということです。一方で、富裕層は税・社会保障負担も低いままなので、プライべートジェットを乗り回し、オーガニックの食事をし、ジムで鍛えているので、健康で長生きするでしょう」(森永氏)
森永氏は、すでに22年度の時点で税金と社会保障費が所得全体に占める割合は47・5%になっており、一揆が頻発した江戸時代の農民の「五公五民」と同じになっていると言う。そこに、さらなる地獄の増税がのしかかる。
「一番の対抗策は、まず生活費を徹底的に節約して、生きていくのに必要な収入を減らすことです。収入を下げられれば、税金や社会保険料の負担を小さくできます。月10万円程度で暮らせる家計を作れば、老後に無理して働く必要はなくなります」(前同)
日本は世界第3位の経済大国ではあるが、それに見合った豊かな生活であるかどうかは、意見の分かれるところだろう。そんな日本の経済再生のヒントは森永氏の著書にあった。
《最優先課題は消費税率の引き下げ、あるいは撤廃だろう。やることはとても簡単だ》
さらに、民間より54%高い国家公務員の年収削減、年収1億円を超える富裕層の所得税・社会保険料や相続税強化など、増税以外にも、やるべきことはいくらでもあると説いている。
「今、日本では、教育への投資や子育て支援、介護負担など、国の手助けを必要とするところはゴマンとあります。財政出動でムダな公共事業に金を使ったりせず、日本が発展するために国を動かすべきですよ」(前出の全国紙政治部記者)
我々の納めた血税をうまく使えないなら、減税してしかるべきだろう。【】画像昭和と令和 家計の比較『ザイム真理教』を基に編集部で作成(単位:万円)