■岡田彰布監督流の人心掌握術とは
「低めを丁寧についてくる好投手が先発のときは、どの球団でも“低めは捨てて、甘めに浮いてきたところを狙おう”みたいなことをコーチが言うんです。一見、理に適っているように思えますけど、岡田さんは違う」
どう声をかけるのか。
「“そもそも、そんな良い投手の球が浮いてくることはあるんか?”となる。“来んもんをいくら待っても、しゃあないやろ”というわけです」(前同)
むろん、打撃コーチも同席するミーティングでそれを指摘すれば、面目を潰すことにもなりかねない。
岡田流の“うまさ”は、そこでもかいま見えたという。
「打者一巡したぐらいの頃合で、円陣を組んで、その中でボソッと言うんです。そうすればヘンに角を立たせることなく、選手もすんなり入っていける。そのあたりの人掌掌握術は、すごく勉強になりました」(同)
■投手起用においても、野手出身の監督らしからぬ“うまさ”が光る
他方、投手起用においても、野手出身の監督らしからぬ“うまさ”が光る。
前出の藪氏が指摘する。
「投手陣を必要以上に疲弊させない配慮を感じました。優勝の立役者である大竹耕太郎(28)と村上頌樹(25)、伊藤将司(27)あたりは、実質的に“三本柱”の活躍でしたが、経験は浅い。そこを岡田さんは、うまくフォローしていた」
どんな采配があったのか。
「疲労が蓄積する夏場にかけて、彼らの登板間隔をきっちり空けて、合間に新外国人のビーズリー(27)や西純矢(22)を挟んだ。このあたりは、人をよく見ている岡田さんらしいな、と」
そんな投手陣は、新守護神・湯浅京己(24)の離脱といったイレギュラーが起きた中でも、チーム防御率2点台と安定感抜群。