筋肉増強のためにステロイドを
エリック家の相次ぐ悲劇については、これまでにも、さまざまな検証がなされている。
「親族や仲間が自殺で亡くなると、残された人間も後追いしてしまう現象は、よくあります。
ただ、エリックは息子たちをレスラーとして大成させるため、当時、マット界で乱用されていたステロイドを勧めていたとも囁かれました」(ベテランの記者)
筋肉増強のためにステロイドを常用すれば、副作用として精神的な不安定さが生じるとされる。また、五男のマイクはリングでの痛みを紛らわせるため、ドラッグ中毒になっていたともいわれる。
父の背中を追い、プロレスに関わったことで、息子たちに不幸の連鎖が起きてしまったのだろうか。
離婚しプロレス事業から撤退
「晩年のエリックは妻とも別れ、プロレス事業から撤退。そういう哀愁も含め、実に“模範的”なプロレスラーだったと思います。
挫折や絶望こそが、ときにレスラーを輝かせるわけですから。何より悲劇から何十年もたって、映画化された。ある意味、エリック一家は世間に勝利したとも言えます」(山本氏)
人生とは終わりのない闘いである――生涯を通じてそれを体現したフリッツ・V・エリックこそ、真のプロレスラーなのかもしれない。