ダルは野球の心を持っている

つい最近も、日本球界の古い体質にメスを入れたことで、大きな話題になった。高野連が、球児の疲労の軽減のために、延長戦で塁上に選手を置いた状態で始める「タイブレーク方式」を検討していることについて、こんな持論を展開。

〈それよりも学年別で1日に可能な投球回数を決めた方がいいと思います。1年5回、2年6回、3年7回って感じで。ベンチ入り可能な選手も18人から増やせばいいと思います〉

以前には、〈高校球児の一日での投球回数を7回までにする。これは『甲子園』の良さを薄くするけど、まだ酷使してはいけない年齢の球児を守るという意味で〉とも発言していた。

「球数制限なんかも、まっとうな意見だと思います。ただ、甲子園でもプロに行くのはほんの一握り。それ以外の選手が、泣く泣く交代となったら、納得できないでしょうし、難しい部分もあるでしょう。しかし、こうして現役の選手が自分の意見を言うというのは、素晴らしいことだと思います」(吉井氏)

ダルは、プロだけではなく、アマチュアを含めた日本の野球界全体のあり方を誰よりも考えているのだ。

そんな彼の思いを知る人物がいる。彼が小中学時代に所属していた全羽曳野ボーイズ監督の山田朝生氏だ。「うちのチームは貧乏だからピッチングマシンがないんですよ。だから、打撃練習もエースが投げなくちゃいけない。肩に負担が掛かるから、ケアもちゃんとしなくちゃいけないんです。そこで、あの子は"これでマシンを買うてあげてください"と言って200万円を寄付してくれたんです。"肩を守るためには必要ですから。あまり無理させないようにしてあげてください"と。彼は"野球の心"を持った世界一のピッチャーだと思います!」

猛毒かと思いきや、その裏には野球を愛するハートがあった――。

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