「来年こそ頑張ってくれ」ひじの違和感でDL入り、投げさせてもらえない……ダルの欲求不満が大爆発!
〈毒吐いてる時は暇な時です。〉
ツイッターに記されたレンジャーズのダルビッシュ有投手(28)の自己紹介の一文だ。
その言葉どおり、よほど暇なのか、最近のダルは"猛毒化"している。
「それも無理ないですね。ダルは、投げようと思えば投げられるのに、球団にサボれと言われているようなもの。鬱憤もたまるでしょう」(スポーツ紙デスク)
8月9日のアストロズ戦で負け投手となり、今季の成績を10勝7敗(防御率3・06)としたダルビッシュ。
この時の投球が4回0/3、4安打1死球と、ダルらしからぬものだったため、MRI検査を受けたところ、右ひじに軽度の炎症が見つかった。靭帯や骨に損傷はなかったものの、球団の方針で今季は「無理をさせない」ということとなり、8月13日にDL入り。
DLとは「故障者リスト」。ケガした選手にリハビリしてもらい、その期間、代わりの選手で25人の選手登録枠を有効に使う制度。
DL入りには15日と60日のケースがあるが、ダルの場合、短期のDL入りだったため、当初は15日で出て来るものと誰もが簡単に考えていた。
しかし、レンジャーズのジョン・ダニエルズGMが地元紙で、「日程を見ればシーズンも残りわずか。彼(ダルビッシュ)が投げるかどうか」と発言、衝撃が走った。
「この時点で、レンジャーズはメジャー最低勝率の・388。プレーオフ進出の望みも断たれたことで、無理をさせる理由もなくなった。来季に備えて休ませようと、首脳陣は考えたようです。今季の登板はないでしょうね」(前出・デスク)
大リーグ研究家の福島良一氏は、こう言う。
「球団の判断のウラには、田中将大投手がひじのケガで戦線離脱したときの"中4日のローテーションに問題がある"という発言も影響していると思われます」
現行のメジャーのシステムに対するトップクラスの投手の提言は、全米で"中4日論争"を引き起こし、実際、先発6人体制を始めた球団もあるという。その発言の当事者への配慮があったと考えられるのだ。
また、"ダルビッシュの体を考えての措置"とはいえ、「先日投球練習を再開したヤンキースの田中将大投手より、ダルのほうが状態はいいとも言われています」(在米日本人ライター)
投げられるのに投げられない1年間通してローテを守りチームに貢献することに誇りを持っていたダルビッシュにとっては堪え難い事態だろう。
そのうえ、「これ以上投げないとなると、今年のダルビッシュの成績は10勝止まり。奪三振王にもなれないことになります。そうなると、今後の契約にもマイナスになる可能性があります」(福島氏)
ダルビッシュは昨年、サイヤング賞の投票で2位になっている。
「今後の3年間でサイヤング賞を受賞するか、4位まで2度以上入れば、契約の最終年を待たずに2017年にもFA権を獲得できる」(前同)のだという。
「ダルビッシュの体を気遣うという名目で、球団はFA権の早期獲得を阻止しようとしているのではないかと、うがった見方をする人々もいます」(同)
球団は「投げる権利」を奪っているとも言える。
「そういう意味で、ダルの代理人は今、球団に"圧力"をかけているはずです」(福島氏)
とはいえ、メジャーのやり方を熟知しているダル自身と球団は対立関係にはなっていないようだ。野球評論家の橋本清氏が、ダルの心情を代弁する。
「もしもダルが球団のやり方に不満を持っているなら、それを口にしているはず。それがないのだから、今回の措置そのものに彼自身は不満を持ってはいないと思います。ただ、投手の本能として、投げたいのに投げられないというのは、実につらいものだと思います」