中国側が狙いを定めた久米島
一方、プロパガンダ活動も過激化している。たとえば、09年9月、中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報が、〈沖縄は明治政府が19世紀末に清国から奪い取ったもので、日本政府は今も沖縄住民の独立要求を抑え込んでいる。(中略)かつての琉球王国住民の大部分は福建省、浙江省の出身で、言葉も制度も中国大陸と同じだった〉と、沖縄領有を正当化する主張を展開している。
「昨年5月にも同紙は、日本政府が沖縄県民に圧政をしいているとして、"いざその時には沖縄を取り戻すための戦争も辞さない"と発表しています。ですが、家屋の強制収容や民主活動家の不当逮捕など、自国民を迫害する人権無視国家への帰属を沖縄県民が望むはずがありません」(中国ウォッチャー)
中国が近い日の"沖縄の中国化"を狙っていることは明白だ。
現在、その前哨戦が演じられているのが沖縄諸島の最も西に位置する人口1万人弱の久米島だという。
「太平洋戦争時、特に沖縄戦の折に、久米島が"外国(=中国)のスパイ"視され屈辱的扱いを受けた例を、中国側はことさらに持ち出し、"いたく同情する"と喧伝。久米島での中国シンパシーを作り出そうと躍起です」(前出・井野氏)
中国の目論見(もくろみ)やいかに――まずは沖縄県知事選の趨勢(すうせい)に注目したい。