――爆破や弾着(銃で撃たれたように見せるために、少量の火薬などを服に仕込む特殊効果)シーンは大きな音が出るので、普通、鼓膜を守るために耳栓をするものですが、OZAWA組や、小沢さん主演作に常連のみなさんは耳栓をしないとお聞きました。「耳栓したら、小沢さんたちに笑われるからできない」と本宮泰風さんもおっしゃっていましたが、そういう伝統があるんですか?

小沢 おかげで難聴気味だけどな(笑)。でも爆破の場合、耳栓をすると音が小っちゃくて距離感がわからなくなるから逆に危ない。特にフィリピンとかで撮るときは、火薬量がアバウトだからマジで危ないんだよ。俺、それで何回も火に包まれてるからね。だから、若いやつには危機を回避するために耳栓はやるなと教えているわけ。まぁ、Vシネマは過酷っていうけど、過酷というより戦場だな。

――改めて、小沢さんにとってVシネマとは?

小沢 ちょっと真面目に答えると、Vシネマっていうのは、若いやつらが世に出ていくための登竜門になる場所であると思うし、あるべきだと思っている。そのためにもまだまだ俺が頑張らねぇとな。
だから、変なやつがいる盛り場とかに行かないようにしてるもん。最近はそれがモットー。だって、サラリーマンが酔ってると、タチ悪いぜ? 「おう、お前あれだろ?」ってしつこく寄ってきたりね。「ハイハイわかったわかった」って対応してたら「なんだよ、その態度は!」って掴み掛ってくるからね。マジでヤクザよりタチ悪い。そもそもヤクザは寄っても来ないから。そういうやつがいるとほんっとイライラするけど、そこはぐっと堪えて我慢してソープランドでもいくか! と気分転換、みたいな(笑)。
俺がなんか事件起こしたら、残りは白竜さんしかいないからな。でも白竜さん、おじいちゃんであんまりアクションできねぇから、やっぱり俺が頑張らないといけない(笑)。

――そうやってVシネマ界を牽引して25年。今回、東映Vシネマ25周年記念作品となる、映画『25 NIJYU-GO』に出演されるわけですが、小沢さんはヤクザの組長役だそうですね。

小沢 そう。俺がやるヤクザの田神ってやつは、ラスト近くまで翔さんと対立する敵役。俺はもともと東映の敵役から上がってきた俳優だから、また原点に戻って「さぁ~暴れるぞ……」と思ってますよ。
ただ、今回はひとクセもふたクセもあるキャストが揃ってるから、みんないろいろと考えて仕掛けてくると思う。だからガキみたいに一から十まで暴れまくるんじゃなくて、みんながガーッと前に出ているときは引っ込んでおいて、たくさん人が死んだあとに「どうだ~」っていう独り勝ちを狙ってるんだ。
翔さんは「小沢、ちょっとは手え抜けよ」とか言ってるから「わかった」って返事してるけど、そんなこと一切思ってない。普段の倍やってやろうと思ってるよ。とことんやってやろうと……(笑)。
まぁそういう算段もあって、最初はヌボ~っと演じて、あえておとなしい衣装にしてるんだよ。でも最後はすげぇ派手になるから。まぁ、すごいアクションシーンになるのは間違いないから、期待していてほしいね。

――Vシネマ誕生25周年記念の作品に出演する思いはありますか?
 
小沢 そりゃあやっぱり、参加できてうれしいよ。Vシネ初期の頃は俺も東映ビデオ作品にばっかり出てたし、東映ビデオに対する思い入れは深いからね。
世の中的には、暴力団排除条例以降、『ヤクザ映画ってよろしくないんじゃない?』みたいな雰囲気があって、Vシネマ=ヤクザというイメージで嫌う人もいる。でもヤクザ映画はいつの時代もあったエンターテイメントジャンルで、なくなっちゃいけない文化だと思うんだ。特に、やっぱり東映っていうのはヤクザ映画の最高のブランドだろ? その火を消さないように頑張り続けてもらいたいよ。 
またVシネマというのは、翔さんとか初期から活躍したスターたちがいて、その下の世代のスターがまた出てきて……という、常に世代が更新されて変わっていく伝統がある。だからまた新たなスターをどんどん出してもらって、ずっとやり続けていってほしいよね。そしてまた5年後には30周年記念作品をやってほしい。そのとき「小沢は使うな」って言われないように、俺も頑張り続けねぇとな。


(文:大道絵里子)


■プロフィール
小沢仁志(おざわひとし)
1962年、東京都生まれ。主な出演作に、『ビー・バップ・ ハイスクール』シリーズ、『SCORE』(室賀厚監督'95)、プロデュース兼主役を務めた『太陽が弾ける日』(横井健司監督'07)、監督・脚本・企画・出演をつとめた『二代目はニューハーフ』('13)など多数。俳優業に留まらず監督・プロデューサーとしても多くの作品を手掛けている。


“Vシネの帝王”哀川翔 主演
『25 NIJYU-GO』
11月1日(土)全国公開!!


悪徳刑事コンビ、横領公務員、老舗ヤクザ、強欲ホステス、謎の殺し屋……。『ワケアリ』の現金25億円に、25人の悪党たちがそれぞれの思惑を胸に、一気に群がる!! 裏社会を舞台に繰り広げられる、欲望と本能のバトルロワイヤル。25億円を奪うのは、いったいどの悪党か!?

出演:哀川翔、寺島進、高岡早紀、温水洋一、小沢仁志ほか
脚本:柏原寛司、大川俊道、岡芳郎、ハセベバクシンオー
監督:鹿島勤

●『25 NIJYU-GO』公式サイト
http://nijyu-go.com/

●【東映×日刊大衆 特別企画】マンガ版『25 NIJYU-GO』公開中!!
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