十数分に及ぶ長い写真判定……あのときほど、時間が長く感じられたことはありません。生きた心地がしないというのは、ああいうことを言うのでしょう。
そして――着順掲示板にウオッカの馬番14が灯(とも)ったその瞬間、僕は大きく手を叩き、思わずガッツポーズをしていました。
強い馬が、その力を最後の一滴まで出し切れば、こういうレースになる。This is KEIBA――競馬の真髄をあらためて思い知らされたようなレースでした。
勝ったから言うのではありません。たとえ負けていたとしても、きっと同じことを言います。あのときのレース、「天皇賞(秋)」は、今でも僕の誇りです。
ヒットザターゲットととも挑む、11月2日の「天皇賞(秋)」。そして、翌3日(盛岡競馬場)にコパノリチャードで参戦する「JBCスプリント」。どちらも、最善を尽くし、競馬の神様に愛されるようなレースをしたいと思います。
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