脱ぐのはやはり恥ずかしい
――それが「全裸でベッドシーン」発言につながったんですね。とはいえ、濡れ場となると、ハードルは高かったでしょう。最終的にやろうと思った決め手は何だったんですか?
安達 本当は"映画でヌードになるんだったら、もう少し奇抜なストーリーで、ドロドロしたエグい作品で……"などと以前は考えていたんです。インパクトが強いほうがいいんじゃないかって。でも、実際に台本を読んで"この作品なら、十分にインパクトが出せるのでは"と思ったんです。
――なるほど。
安達 加えて、年齢を重ねて、いろんな経験も積んできたことが大きいかな。心の準備もできて、タイミング的にもいいのかなって。
――脱ぐのはやはり恥ずかしかったですか?
安達 普通に考えたら、何十人もの人の前で裸になるのは恥ずかしくないわけがないじゃないですか(笑)。
――そうですよね、失礼しました(笑)。
安達 なかでも、一番恥ずかしかったのは、豊島(圭介)監督と、男性のカメラマンさんに、まじまじと肌を見られたこと。私、設定で、"血色がよくなると、ほんのりと肌が色づいて、肌に赤い花が咲く"という特殊な体質ということになっていたんです。女性のメイクさんに赤い花を描いてもらいました。
――特殊なメイクを施したわけですか。
安達 その花の具合のチェックのために、至近距離でじーっと直視されて、「もうちょっと濃いほうがいいかな」とか言われて……。だけど、(濡れ場を)演じる前にそんなやりとりがあったから、撮影にはリラックスして臨めたんだと思います。
――だからでしょうか、濡れ場はとても官能的でした!
安達 実は、リハーサルで豊島監督と助監督さんが"見本"を見せてくれたんです。
――見本?
安達 豊島監督が考えていたプランで、実際に二人で演(や)って見せてくれたんですよ。そういうのって、「はい、役者さんにお任せします」っていうザックリした段取りだと、どうすればいいかわからないし、ちょっと困るじゃないですか(笑)。
――たしかに。
安達 "このタイミングでちょっと感じる"って、一つ一つ丁寧に演じて見せてくれたんです。おそらく、私の恥じらいを払拭するためにやってくれたんだと思います。
――生きるか死ぬかのところで愛しあう、すご味にあふれた場面でした。お相手は、淵上泰史さんが演じる正義感の強い職人の半次郎でしたが、実際の安達さんの好みの男性のタイプは?
安達 "思慮深くて情熱的な人"というのは、ずっと変わりません。よく考える人が好きなんです。
たとえば、私と出会って好きだなって思っても、"本当に自分は安達祐実とつきあっていいのか"って、よく考えて、でも、最終的には「好きだ!」みたいに情熱的に言ってくれる人がいいですね。
――う~ん、難しい。
安達 一つのことに、きちんと向き合って考えられる人が好きなんです。
――なるほど。真面目な男が一番ですよね。さて、33歳を迎えた現在、結婚を考えることもありますか?
安達 もう一度、結婚をしたいという願望はあまりないんですね。ただ、子どもがいるので、どうするのが一番いいかを考えることはあります。ずっと独りで、支えになってくれる人がいないのは、嫌だな……って。刺激とかは、とりあえずもういいかな。おなかいっぱいになりました、フフフ(笑)。