「落合VS谷繁」で失敗した中日

巨人以外で、嶋の獲得に動いていたのが中日だ。
「監督業に集中したい谷繁は、嶋を高く評価し、獲得に動こうとしたんですが、落合GMが待ったをかけた。彼は、"嶋より炭谷銀仁朗(27=捕手=西武)だろ。キャッチャーは打てなくていい"と言ったそうです。対立しているうちに、嶋、炭谷は残留を表明。結果、両者を逃すハメになりました」(専門誌編集者)

一方で、中日はFA流出の危険性のあった山井大介投手(36)の残留を成功させているのだが、実は、嶋や山井と同様に、能見篤史投手(35=阪神)、平野佳寿投手(30=オリックス)など、今季権利を得たほとんどの大物選手は、FA宣言をせず、所属チームにとどまる選択をしている。
野球解説者の江本孟紀氏は、この動きについて、
「FAを取得するような選手は、選手寿命のピークを終えた選手がほとんどで、新しく環境を変えてやっていく自信がない。現実的には、FAは、所属球団との年俸闘争の道具として使われているわけです」
と語る。結局のところ、金子以外でFA宣言したのは、ロッテの成瀬善久投手(29)、日ハムの小谷野栄一内野手(34)と大引啓次内野手(30)、そして、前述の巨人入りが濃厚なDeNAの金城、ヤクルトの相川など、当初の予想よりは「小粒」なメンツに。

そんな中、珍しく積極的なのが、成瀬や大引の獲得に動いているヤクルトだ。同球団は広島を退団したストッパーのミコライオ投手(30)も、ほぼ獲得したと言われている。
「これまでヤクルトは独立採算を求められていたため、資金面の制約がかなりあったんです。しかし、今年は本社から補強費が出るそうですよ」(前出・専門誌編集者)
そのヤクルトの何十倍も金を使えるのが今年日本一になったソフトバンクだ。
「松坂大輔投手(34=元メッツ)はほぼ決まりと言われていますね。DeNAなども獲得に動いているようですが、ソフトバンクは出来高を含めて3年20億円を用意しているといいます」
件の金子にも20億円以上を提示する用意があるという同球団。まさに"孫マネー"恐るべしだ。

中島裕之内野手(32・元アスレチックス)の獲得にご執心なのは阪神。4年12億円という大型オファーを出していると伝えられているが、
「阪神は"元メジャーリーガー"であれだけ失敗しててるのに、なかなか懲りませんねぇ」
と前出・江本氏はあきれ顔をする。この中島獲りの理由は、主将の鳥谷敬内野手(33)が海外FAの書類を提出し、阪神退団が濃厚であることにある。
ちなみに、鳥谷について江本氏は、「鳥谷? メジャーでは通用しませんよ」とバッサリ。
いずれにせよ、頼れる主将を失い、今年は3Aにすら上がれなかった選手に多額の投資をしようとしている阪神の大敗は間違いなしか……。

最後に、今オフの目玉になるかもしれないのが、キューバ選手だという。
「キューバ選手はキューバ野球連盟の意向で、選手の"派遣先"が決まるんです。だから、今年DeNAで活躍したグリエル内野手(30)の来季の所属チームも、今は白紙。巨人が本腰を入れると聞きましたが……」(専門誌ベテラン記者)

大異変連発のストーブ戦線だが、ここでの勝敗が来季のペナントを左右することは確実。各球団の動向から目が離せない!

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