キスだけでマンションを3戸

では、婚活をし、被害に遭った熟年男性の具体例に迫っていきたい。
まずは結婚相談所を通じて婚活したところ、投資用マンションを3つも買わされる被害に遭ったという、都内在住の公務員A氏(57)のケース。
バツイチで再婚希望のA氏に、デートを申し込んで来たのは40歳で未婚というかなりの美人OLだった。ひと目惚れしたA氏は、すぐさま正式な交際を申し込んだところ、OKの返事。
「天にも昇る気持ちでした。ほどなく彼女が、"2人の将来のために投資用マンションを買おう"と。そして、半年ほどの間に3つ購入したんです。都内といっても郊外のワンルームなので、3つで総額2000万円ちょっとでしたが」(A氏)
A氏は年収500万円ほど。持ち家ナシ、貯金も離婚時に元妻に払って、ほとんどナシ。しかし、公務員だったことから住宅ローンがスンナリ組めた。

ところが、3つ目のローン契約を結ぶや、彼女の携帯電話は通じなくなり、音信不通に。
おかしいと思ってA氏が調べてみたら、彼女は購入したマンションの営業レディーで、しかも既婚者で子持ちだった。結婚相談所に入会し、ローンを組みやすい年収400万円以上、50代のバツイチ公務員ないし教員にターゲットを絞り、営業をかけていたことが判明したという。
「大手をはじめキチンとしたところは住民票、独身証明書、卒業証明書などが必要。しかし、自己申告のところもまだ多い。特に女性は貴重ですから審査も甘いんです」(前出・福田氏)
ちなみに、A氏は彼女と一度、キスしただけの関係。彼女の自宅も教えてもらっていなかったという……。

お次は結婚相談所を通じて、やはり美人の中国人女性(42)と知り合った会社員B氏(63)のケース。B氏は未婚で、母親と同居していた。
「特に不審な点はなかったんですが、彼女が中国の実家に挨拶に行ってくれというタイミングで、B氏の母親が一応、念のためにと調査依頼してきたんです。3日だけの調査だったんですが、最終日、彼女の自宅に張り込みをしていると、ベンツに乗った男が現れたんですよ」(前同)
彼女は貿易会社OLと言っていたのだが、実際は銀座のクラブに勤めるホステスで、男はその客だった。
「彼女はB氏に大きな金の無心をしたことはなく、結婚は本気だったとは思います。しかし、B氏は激怒し、結婚話はなくなりました。もし結婚しても、その愛人関係は続いていたでしょうからね……」(同)

中高年の婚活の場は結婚相談所ばかりではない。最近流行りなのが、シニア向けのお見合いパーティ。成婚時にかなりの手数料を取られる結婚相談所と違って、こちらは参加費1回1万円程度と格安だ。
55歳の会社員C氏(母と持ち家に同居)は、母の勧めで初めてお見合いパーティに出席した。すると、40歳前後の和風美人が近づいて来て、積極的に話しかけてきたという。
口ベタのC氏は彼女にひと目ぼれ。そして、たった3度会っただけで結婚話に至ったという。
「彼女は"イタリアで結婚式を挙げたい"と、お願いしてきたそうです。その手配や婚約指輪、結婚指輪、結納金など、C氏は締めて1000万円ほどを言われるままに出費。そして、イタリア旅行の直前、彼女は忽然(こつぜん)と消えたんです」(同)

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