"相思相愛"だった広島と黒田

「あまり金の話はしたくないけど、10数億円も年俸の安い日本球界に戻ってくる決断は、誰にでもできることではないですよ。そこに黒田の美学を感じますね。まだ力があるうちに日本で投げたい、広島に恩返しがしたいという強い気持ちがあるんでしょう」
と言うのは野球評論家の橋本清氏。

「マエケンを筆頭に広島の若手投手は、黒田の背中を見て学ぶことはたくさんある。黒田の加入は、チームにとって単なる勝ち星以上のプラスになるはずです」

黒田、前田健太(26)の2本柱に昨年の新人王・大瀬良大地(23)、野村祐輔(25)ら若手が噛み合った広島投手陣は、セ5球団にとっては脅威だろう。

広島がセの脅威なら、パの脅威はオリックス。
僅差でリーグ2位に終わったものの、親会社が創業50周年を迎えた昨季の快進撃に気をよくした宮内オーナーの大号令で、今オフは超大型の戦力補強を敢行している。

「DeNAからブランコ、広島からバリントンを獲得。今まで消極的だったFA市場にも積極参入し、日ハムから小谷野栄一、元西武の中島裕之を獲得。ここまでで40億円。さらに、エースの金子千尋を4年20億で残留させることに成功。優良企業のオリックスだけに、その気になれば〝軍資金〞は豊富。本気で96年以来のリーグ優勝と日本一を狙いにきています」(前出・ディレクター)
こうした球団の並々ならぬ姿勢を、イチローも敏感に感じているはずだ。

「イチローも野球選手である以上、元気にプレーしている姿を日本のファンに見せたいという気持ちは当然、持っているはず」(前同)

イチロー人気は証明済み。
事実、09年の第2回WBC直前の侍ジャパンの合宿地である宮崎では、「イチローを日本で見られる最後のチャンス?」とあって、現地は空港からスタジアムに向かうバイパスが大渋滞を起こしている。

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