養成所に入ったはいいものの、誰かに声掛ける勇気がないので、コンビも組めない。養成所でのネタ見せの場では仕方なしに、一人でボソボソとやっていたんですけど、先生が「見せ方は下手やけどおもろい」って褒めてくれたんです。

先生はめったに褒めないんで、「うわっ凄っ! 良かった」と思いましたね。その日の帰りに、相棒になる田村裕が声を掛けてきたんです。
「お前、おもろかったから、コンビ組んだってもええで」ってね。

僕が考え込む性格やから、相方は能天気なバカがいいなって思っていたところに、田村がきたんで、待ってましたと思いましたね。それでも、人前に出て漫才やるとなると、飯も食べられんほど緊張したり、恥ずかしくて田村の後ろに隠れて喋ったりしながらも、なんとかここまできました。

芸人になるという目標だけの人生でしたから、逃げたら何もできんというのがわかっていました。自分らで考えたネタをやり、キャーキャー言われたい、モテたい、金持ちになりたい、今までの人生を取り戻したいっていう願望がいまのモチベーションになっています。

撮影/弦巻 勝


川島明 かわしま・あきら

1979年2月3日、京都府生まれ。AB型。お笑い芸人養成所『NSC大阪校』時代に、田村裕と『麒麟』を結成。養成所の同期には、『トータルテンボス』などがいる。02年にABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞を受賞するなど、数々のコンテストで賞を受賞。低音ボイスで「麒麟です」と自己紹介するネタが受け、一躍、売れっ子芸人に。現在はお昼の情報番組『昼まで待てない!』(名古屋放送)を始め多数のレギュラー番組を持つ。川島明氏初のイラストエッセイ『うつむきくん』(双葉社刊)が絶賛発売中。

「うつむきくん」(川島 明/双葉社)










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