このレースで優勝したのは、後にカネヒキリ、サダムパテック、イスラボニータなどを生むことになるフジキセキ。しかし、スタートで出遅れながら、そのフジキセキをクビ差まで追い上げたスキーキャプテンの能力の高さは世代トップクラスで、覇権を争えるだけの器を持っていました。
乗りやすい馬か、乗りにくい馬かと問われたら、間違いなく後者です。でも、あの凄い脚を殺してまで乗りやすい馬にするというのは本末転倒です。
どんなレースでも、誰が相手でも、勝負は最後の直線――それが彼の真骨頂で、それを120%見せつけてくれたのが、今週末、京都競馬場で行われるGⅢ「きさらぎ賞」(芝1800メートル)の舞台でした。
単勝1.0倍。レース後、勝利ジョッキーインタビューで、「今日はただ馬につかまって、直線に向いてゴーサインを出しただけでしたね」と話しましたが、正真正銘、僕はただつかまっていただけでした。
今年、このレースで僕の相棒を務めてくれるのは、サンデーレーシングのポルトドートウィユ。初めてのコンビになりますが、父ディープインパクト、母ポルトフィーノは、どちらも力を知り尽くした戦友です。
ここをステップに、三冠クラシックへ――負けられない闘いです。
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