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パンチ佐藤の「野球が一番!」
第7回 大スター・松永浩美さんが「背中を踏んでくれ」と…キャンプの裏話


2015年シーズンからBCリーグ『武蔵ヒートベアーズ』の宣伝本部長に就任したパンチ佐藤。かつての日本代表~オリックスのドラ1も、今では芸能人としての色が濃い。そんなパンチが野球界に“復帰”して改めて思ったことは「野球が一番」ということだ。今回は、名プレイヤーとして名を馳せた松永浩美氏やキャンプの裏話を、パンチ流に解説する!
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一部選手を除き、キャンプというのは、単に身体を作る作業ではありません。実は、サバイバルの舞台がキャンプにあるのです。一軍の出場選手登録は28人。これは12球団変わりません。問題は28人の内訳。これは、各球団の事情により大きく異なります。

まあ、一般的な話をすれば、投手は10~11人。残り17~18人が野手になります。その中でレギュラーは8人ですから、僕のような代打屋を始め、控えは9~10人。この9~10席を巡り、サバイバルが展開される。それがキャンプの本質です。

正直、ライバルと思しきプレーヤーが怪我をすれば、陰で「イヒヒ…」とほくそ笑む。この環境が約1カ月続くのです。気疲れして当然ですよね。心が休めませんから。当時、オリックスのキャンプは独り部屋でしたが、球団によっては2人部屋もありました。

よくマスコミに監督は、「レギュラーは関係ない、横一線だ」といいます。これは大ウソ。最初からレギュラーは決まっています。冒頭、「一部選手を除き」と書きましたが、その一部選手がレギュラー組。レギュラーにとってキャンプは、マイペースでできる楽しい練習期間です。

キャンプの練習は勿論、守備位置によって違いますが、午前中は1試合に1度あるかどうかの細かいプレーが主です。例えば、バント処理や一塁・二塁間の狭殺プレーといった守備練習。地味で、面白くない練習ばかりです。

グラウンドにストレスがかかる練習を午前中から行うため、午後のノックは最悪。グラウンドがガタガタになった状態なので、イレギュラーする。公式戦ではあり得ない状況でノックをするのですから、時々ポロッとします。それをすかさず、裏方やコーチはチェック。

そして、何と「もう一丁!」がプロにはないのです。僕らが中学、高校、大学、社会人の時は必ずあった「もう一丁!」。それがプロにはない。そんなところでポロッとしてしまえば、「パンチは守備ができない」という烙印が簡単に押されてしまう。だから、第一印象が絶対なのです。

ここからは、僕ならではの話です。僕が入団一年目のキャンプ初日。練習が終わった後にトレーニング室へ行きました。そこへ大スター・松永浩美さんがやってきて「背中を踏んでくれ」と言うのです。
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