年を取ってもときめきは大事

さて、【趣味・娯楽】においても気をつけたい点がある。下村氏は、同じゲームをするなら一人より対戦型のものがよいという。
「お薦めできない代表的なものはパチンコ。相手と駆け引きする刺激もなければ、内容も単純かつワンパターンで脳への刺激が少ない。負ければストレスも溜まります。逆に、お気に入りの曲を歌詞を見ながらカラオケで歌うのは、記憶トレーニングにもなりますし、脳に刺激が行くからいいですね」

また、パソコンやスマホを利用することは、想像以上に脳を活性化させ、認知症予防にいいようだ。生田氏もこう語る。
「アメリカのUCLA老齢研究所が、高齢者がネット検索するときと読書するときの脳の活動状況をMRIで調べたところ、意思決定や判断を下す際に使う脳の個所は、読書では顕著に活動しなかったそうです。外国語の修得も、脳の刺激には最高とのデータがあります」

羽生教授は、未体験のものに挑戦する気持ちの重要性を説く。
「"多趣味な人は、アルツハイマー病になりにくい"というデータもあります。脳の引き出しが増えていくからでしょう。手先を使う趣味、たとえば、絵画や陶芸、園芸などもいいでしょう」
懐かしいプラモデル作りもお薦めだ。

趣味に一人で打ち込むのもいいが、人間は一人では生きられない。他人との【交流】が大切だ。初恋の相手に久しぶりに会える同窓会に積極的に参加するのはいい。また好みの女性に会ってドキドキするのもいい。ときめきが脳に刺激を与えるからだ。
「やはり最高の生きがいを感じるのは、愛する異性の存在でしょう。恋愛に年齢など関係ありません。どんどんトライしてみればいいんです。ネット、お見合いパーティなど、いくらでも方法はあります」(下村氏)
もちろん、異性関係だけではない。他人とのコミュニケーションをはかるため、地域活動に積極的に参加するのもよいだろう。

また、一番身近な家族の存在も重要だ。
「一人暮らし、あるいは近い将来、独居になりそうな場合は、それも認知症の危険因子になります。高齢になると、親の介護、配偶者や親しい友人の病気や死別……などに見舞われます。こうした負のストレスは認知症を招き、悪化させるのです」(羽生教授)

子どもや孫とは疎遠にならないようにしたい。

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