金子もグリエルも交渉失敗

「本来なら、こんなときこそ、攻守にわたって若手が自らの力をアピールするチャンスなんだが、巨人の場合、中堅や若手が伸び悩んでる」(同ジャーナリスト)
この指摘もうなずけよう。原監督がキャンプ序盤、 「今年の4番候補」とプッシュした大田泰示も、最初は結果を出すものの失速。3月11日のソフトバンク戦で左大腿二頭筋の肉離れを起こし、無念の二軍落ち。

「詰まった当たりでもスタンドに放り込む大田のパワーは本物。ただ、昨年臨時コーチを務めた松井秀喜氏が彼の打撃を"ボールとの位置(距離)が取れてない"と評したように、大田はボールをバットの芯で捉えるのはうまくない。だから、打撃練習の甘い球は打てても、投手の"生きた球"はなかなか打てないんです」(ベテラン記者)

大田以外の若手も、思うように育っていない。
「村田に代わって三塁に起用された中井大介は、3月15日のロッテ戦でタイムリーエラー。原監督に、"(エラーは)打つ以前の問題"とダメ出しされているが、これはコーチ陣の正直な気持ちでしょう。大田、中井の伸び悩みに落胆を隠せずにいます」(同記者)
こんな窮状を予測したのか、昨シーズン終了後、 「チームを解体するつもりで作り直す」と宣言した原監督だったが、オフの戦力補強は誤算だらけで大失敗。

「本気で獲りに行く気だった金子千尋は、オリックスに残留。DeNAのグリエルとモスコーソも残留を決め、FA宣言すれば獲得するつもりだった楽天の嶋基宏もFAせずに残留した」(前出のデスク)
狙っていた選手との交渉がうまくいかず、一人も補強できなかったのだ。
「金子の場合、"2年後のメジャー移籍を認める"という条件がネックになったようです。グリエルは"シーズン中も国際試合に出場させること"というキューバ側の要望を嫌ったためです」(前出のベテラン記者)

他方で、嶋の楽天残留で、巨人の正捕手は2年目の小林誠司とヤクルトから移籍した38歳のベテラン、相川亮二の争いになるが、
「小林は肩は強いが、打撃は非力でリードにも難あり。相川は昨年58試合に出場しただけで、スタミナ面に不安がある」(同記者)
と、捕手も「柱不在」。

野球評論家の橋本清氏は次のように分析する。
「巨人は自分が何をすればいいかわかっている大人の選手が多いので、たとえ開幕ダッシュに失敗しても、優勝争いにはきっちり絡んでくるはずです。キーマンを一人あげるなら阿部。守備の負担の少ないファーストで彼の打棒が復活するかどうかが、今季の巨人の浮沈のカギを握っていると思います」
あまたある負の要因を跳ね返し、V4を達成できるか。開幕戦から注目したい。

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