映画でも説明されていたが、「BiS」は既存のアイドルとはちがう破天荒な活動をこれまでやってきたという。そこには渡辺マネージャーの仕掛けがあった。

印象的なシーンがあった。アイドルたちがAV監督たちとペアで過ごすことになったとき、渡辺マネージャーはその危険性を心配するのだが、でも「アイドルだから」と信頼するのだ。

その信頼に彼女たちは応えることができるのか? 百戦錬磨のAV監督はアイドルを切り崩すことができるのか? もう、完全に異種格闘技戦なのである。

これで思い出したのが、元祖・異種格闘技戦を仕掛けたアントニオ猪木&新間寿のことだ。

猪木の強さを証明するために、新間氏(猪木のマネージャーであり当時の新日本プロレス営業本部長)は高名な格闘家に対戦オファーを出し、次々と試合を実現させた。モハメド・アリ戦ですら。

「猪木は最強である」という絶対的な信頼があったからこそ、大それた企画(異種格闘技戦)を仕掛けることができたと新間氏は後年語っていた。どんな展開になっても猪木なら大丈夫、という信頼感。

この映画での渡辺マネージャーの言葉を聞いて、それに近いものを感じた。

そうは言ってもスタートしてしまえば何が起きるかわからない。完全ドキュメント。ファンは見たいようで見たくないはずだ。松尾監督によればファンの反応は賛否両論だという。

しかし私のような予備知識が一切ない野次馬も引き込まれたのも事実だ。

「BiSキャノンボール」は、仕掛ける側の息づかいまでが観戦できる映画でした。


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