デイサービスで介護負担軽減

そこで、日頃から(9)近所のかかりつけ医と仲良くしておきたい。
「認定するうえで主治医の"意見書"は重要です。日頃つきあいのある医師が認知症の専門でなくても、推薦状を書いて良い専門医を紹介してもらえるからです」
こう解説するのは、訪問介護を行う『ケアサポートぱんだ』(東京都江戸川区)の課長で、介護事情全般に詳しい帆角利恵氏。
さらに、
「お金の計算ができず、自分一人で買い物ができない状態というと、要介護4以上というのが一般の方の実感かもしれません。しかし、ほぼ寝たきりでなければ、4以上は認定されません」

加えて、(10)本人審査の際、正直に答えるように事前に家族から本人によく伝えておくことをアドバイスする。
審査の場には家族が立ち会うと、さらに良い。
「医者の"意見書"などを基に、専門家が訪問調査を行います。その際、本人がプライドから必要以上に大丈夫とアピールするケースが少なくありません。長年一人暮らししてきた男性ほど、その傾向が強いですね」

これらの注意点を守って、"要介護"と認定を受けると、(11)居宅介護支援事業者に、ケアプランの作成を依頼するという流れとなる。
「ケアプランとは1か月分の介護サービスの利用予定表のこと。居宅介護支援事業者は自由に選べるので、家の近所の会社を選択すると便利です。作成費用は全額、介護保険料から支払われるので無料です」

この際、ケアプランの作成を担当する(12)ケアマネージャーと親しくなることが重要だという。
「ケアマネージャーは介護の専門家で、最寄りの自治体(地域包括支援センター)、介護サービス業者との連絡調整役でもあります。親身になって相談に乗ってくれれば、これほど心強い味方はいません。逆に言えば、余り熱心でなかったり、相性が悪ければ心もとない。その場合は、行政の担当窓口に相談すれば、契約をしてからでも、替えてもらうこともできます」

また、(13)福祉用具貸与サービスも利用しよう。
「介護保険の対象は介護サービスだけではありません。認知症老人徘徊感知機器、車イス、自動排泄処理装置、入浴用リフト、さらに(工事を伴わない)手すりやスロープなども安価で貸してくれます」

また、(14)介護保険の対象となる認知症専門のサービスもあるので必要に応じ、最大限利用したい。
なかでも、帆角氏は、
「日中に介護施設に通う(15)デイ(ケア)サービスはできるだけ利用すべき」
と言う。
これらは、どのくらい費用がかかるのか。ここで具体的なケースを見てみよう。

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