岩井志麻子のあなたの知らない路地裏ホラー
格安風俗店のサツキvol.2 ある日、突然いなくなって…


ハードなサービスが売り物の格安店。となれば、若くて可愛い子がいるわけはない、と最初からわかるだろう。いても、何かがやばい女だろうとは見当がつく。

その店には、若いのに変に落ち着いた店長がいる。取材に来た女性編集者に、サツキという女の話をしてくれた。自称、見える人。アタシ霊が見えるという種類の女だった。

「サツキは見える人なのに、見えない。っていうか、それこそ霊感ゼロの誰もがサツキの見せる写真に、変な中年女性の顔がいると見てるんですが。サツキだけは見えない、私と彼氏しか写ってないといい張る。他の人のなんでもない写真を見ると、いちいちここに顔があるだの手が写っているだの、単なる影や模様を見て騒ぐのに」

おもしろいんだか怖いんだかわからない話を聞いて、何カ月か過ぎた頃。女性編集者は再び店長に会う機会があったので、例のサツキちゃんは元気かと聞いてみたら……。

  1. 1
  2. 2