1992年の横浜アリーナ大会で蝶野正洋とNWA世界戦を戦っているのだ。オースチンはフサフサの金髪で、振る舞いもとにかく上品だった。

私はあの日、学生なのに奮発して特別リングサイドで観戦していたのだけど、両者どちらも巧くて渋い試合だったことはなんとなく覚えている。だけどそれ以上の印象はあまり無かった。横浜アリーナの観客全体もそんな感じだった。今見たら技術の攻防も味わいがあるのだろうけども、あれで客をガンガン呼べるかと言われたらちょっと難しい。

もちろんあの時点でビッグマッチに出ていたのだから、オースチンは成功者だったのだろう。しかし大成功するためにはさらにもう一段上の変身が必要と考えたのだ。オースチンも、そして、蝶野も。両者はこの数年後に大変身し、成功した。

私は今でもあの「オースチン対蝶野」を考えると、プロレスというジャンルの面白さにしみじみしてしまう。

技術は持っている、じゃあそこからどうするのか。何を売りにするのか。どこまで届かせたいのか。WWEは意識と技術の高いレスラーが世界中から集ってくる。

日本からはノアのKENTAが「ヒデオ・イタミ」として只今WWEで活躍中。このまま世界のスーパースターになったらすごいな。

エンタメの過酷さとご機嫌さを、WWEはいつも教えてくれます。


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