渋滞時に一番早い車線とは?

また、先に述べた東北道と関越道の2区間に東名・大和トンネル(以下=TN)付近も含めた3区間では、期間中に40キロ以上の渋滞を11回予測しているが、そのうち10回が上りということも頭に入れておきたい。
さらに、区間別で見ると、宇都宮IC、花園IC、大和TN、小仏TN、音羽蒲郡IC、一宮JCT、四日市IC、宝塚西TNなど"ドライバー泣かせの常連"が、名を連ねていることが一目瞭然。

しかし、こうした"名前"や距離だけにとらわれてはいけないと、前出の清水氏は警鐘を鳴らす。
「ひと言で渋滞と言っても、"不快度"はかなり違うんです。ピタッと止まってしまう渋滞よりも、ノロノロでもいいから動いているほうが、ストレスが少ないですよね。実は区間によって、この不快度が大きく変わってくるんです」

渋滞とは、高速道路の場合、時速40キロ以下で走行(都市高速は同20キロ以下、一般道は同10キロ以下)していることを指す。清水氏によると、通常の渋滞では時速20~25キロで進むことが多いと言うのだが、中央道の小仏TN付近では時速10キロ程度しか速度が出ないと言う。
「これは、首都圏から放射状に伸びる高速道路が概ね片側3車線あるのに対し、中央道だけは片側2車線しかないうえ、この付近に車線の増減があるからです。そのため、他の区間と渋滞距離が同じでも、通過時間が余計にかかり、ストレスも溜まるんです」

このような"不快区間"は実際の道路事情に大きく影響されるため、一概には言えないが、なるべく可視化できるようにと表したのが、文末の表組の「通常時との所要時間の比較」だ。
この数字が大きくなるほど、通常よりも余計に時間がかかることになる。

清水氏が話す小仏TN付近は、中国道の宝塚西TN付近と並んで5.3倍と最多タイ。ぜひ参考にしていただきたいのだが、こうした予測や分析が通用しないのが、「交通集中渋滞」とは異なる「事故渋滞」。事故はいつ、どこで起きるかが分からないのは言うまでもないが、
「事故が発生すると、規模や現場検証によって通行できない車線が出ます。すべての車線が通行不可になれば、事態が解決するまで後続車両は先に進めませんから、"地獄の渋滞"と化します」(前出の村松氏)

これには清水氏も同意見で、「事故渋滞の情報に遭遇したら、直前のSAなどで寝るしかない」と言うのだ。
こうした最悪の事態を避けるためにも知っておきたいのが、迂回路線の存在。
「東京と大阪・神戸間の移動では、"東名・新東名→名神"が一般的ですが、東名の途中から"伊勢湾岸道→新名神"と抜けたほうが渋滞は格段に少なくて、しかも道も走りやすいうえに、距離も約35キロ短くなるんです」(村松氏)

お盆期間中の新名神での渋滞予測は最大10キロで、しかも2回しかないから、確かに有効だろう。
「他にも、東京・仙台間の移動では、これまでは東北道しかありませんでしたが、今年3月に常磐道が全線開通。東京・仙台間が2本の高速で結ばれたんです。SAやPAの充実度は下がりますが、常磐道を利用したほうが約20キロ短縮できます」(前同)

仙台では、仙台南部道路と仙台北部道路を利用することで、東北道と常磐道から伸びる仙台東部道路、三陸道と連絡できるため、青森や岩手、秋田などの仙台以北を出発・目的地とする人にとっても朗報だ。
「さらに、舞鶴若狭道が昨年7月に全線開通したことで、北陸・中国地方間を移動する際に、大阪や京都といった交通量が多い地域を通らずに済むことが可能になりました。こちらも30キロ以上距離を短くできますが、舞鶴若狭道の60%以上が片側1車線しかない点には注意してください」(同)

最後に、「渋滞時はどの車線を走るべきか?」と清水氏に尋ねたところ、「一番左の車線」との答えが。その理由は、高速から降りていく車両台数に対し、乗ってくる車が渋滞を嫌がって少なくなるからだそうだが、「せいぜい10キロで1分程度の差しかないので、いずれかの車線で、じっとするのが一番」(清水氏)

また、「渋滞でのノロノロ運転時に起きる事故件数のほうが、軽微とはいえ渋滞の最後尾車両に突っ込む件数より圧倒的に多い」(同)というから、気をつけてほしい。

ドライバーが絶対に避けたい道路渋滞。これらの情報を活用して、有意義なお盆休みを過ごしていただきたい!

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