81年徳山でデビューし、デビュー初戦で1着。そのデビュー戦で初優出(結果3着)。後にも先にも、こんな芸当をやってのけた選手はいない。

84年にはオールスター戦である笹川賞(SG)で初のSGホルダーとなる。

何が見事だったか。彼の「ツケマイ」に他ならない。
前出、地蔵ターンが主流だったレースにおいては以下の通り。
初動:スロットル(アクセル)を放ちハンドルを3回送り、スロットルを握り直して、ハンドルを3回戻す。

全ての選手がターンマーク手前でスロットルを放つ、その瞬間、今村豊は左後方に重心を置き、スロットルを握ったままハンドルを回し入れ、内側の艇前を直角に横切り、一番内にいるイン艇をスレスレに掠め、全ての艇が今村の引き波に嵌まり、バックストレートではすでに10艇身以上の差をつけていた。
まさに「芸術」としか表現できない走りであった!

水面がキャンバスに見えたのは、彼のツケマイのみである。

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