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パンチ佐藤の「野球が一番!」
第23回 「世界を見る」ことの大切さ


今年のU-18世界大会で思ったことがあります。それは「世界を見る」ことの大切さです。 実際、僕自身、社会人・熊谷組時代に海外で他国の選手と試合をし、一皮むけて帰って来た思い出があります。

当時は台湾、韓国、プエルトリコへ遠征しました。 特に、プエルトリコでインターコンチネンタル世界大会が開催された時、「あること」を考えさせられたんです。それは「日本の野球環境が良すぎる」ということ。

インターコンチネンタル大会は国際大会ですが、球場のライトが薄暗くて内野までしか光が届かない。つまり「外野手は何も見えない」んです。

「こんなところ(球場)でよくやっているな」と試合開始当初、僕は思いましたが、キューバの選手が平然とプレーしている姿に「日本が良すぎるだけだ」と考えを改めたんです。

しかも、キューバ選手団はバットにグローブを挟み、そこへスパイクの袋をぶら下げて登場。まるで小学生みたいです。さらに、アンダーシャツはお尻のポケットに入れている。

かたや日本選手団は、バッグの中にタオル、ペットボトル、コンタクトレンズや爪切り…お泊まりセットみたいな物が入っている。そして、現地は水道環境が良くないので、スライディングするごとに、ペットボトルの水で汚れを流す。

それに比べ、何もしないキューバ選手のハングリーさ…比較対象になりません。 ナイターが終わり、宿舎に戻るのが深夜2時、3時頃。移動に時間がかかるんです。

それでもキューバ選手は、早朝6時には食堂まで走って朝食を摂りにきます。日本選手はその時間、しっかり寝ていますからね。

キューバの子供たちは拾った棒で野球をするんです。日本と違い、ボールなど高価な品は一般家庭にはありません。何と、トウモロコシの種をボールに見立てて遊ぶんです。日本の少年野球は、土日にユニフォームを着て練習。最近では、遊びで野球をする少年が激減しています。

こういった生活環境からキューバの子供たちと日本の子供たちは大きく異なるんです。 分かりやすくいえば、ブラジルの少年と日本の少年を比べればわかります。彼らと日本の草サッカーの質は一幕瞭然ですよね。ボールを蹴ることが生活の一部になっている。メジャー競技になったとはいえ、日本のサッカーはまだまだ生活の一部にはなっていない。
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