元横綱・曙太郎が激白「日本人力士よ、今こそ奮起せよ!!」の画像
元横綱・曙太郎が激白「日本人力士よ、今こそ奮起せよ!!」の画像

1990年代の角界を牽引した"伝説の横綱"で、現在はプロレスラーの曙太郎氏(46)に直撃インタビュー!! 彼は後輩たちに何を思うのか?


曙太郎 あけぼの・たろう
元大相撲力士(第64代横綱)、プロレスラー(全日本プロレス所属)。1969年5月8日、アメリカ合衆国ハワイ州出身。東関親方に見込まれて相撲界入りし、88年3月場所、初土俵。若乃花、貴乃花、魁皇らと“花の六三組”として一時代を築く。優勝回数11回。通算成績654勝232敗181休。2003年末、K‐1参戦を皮切りに格闘技の世界へ。第47、52代三冠ヘビー級王座、15年「チャンピオン・カーニバル」優勝他、タイトル多数。


――今も、相撲は見ているんですか?

曙 もちろん。日本人の心ですから。

――最近の力士を見て、思うことはなんでしょう?

曙 羨ましい、ということです(笑)。今のモンゴルの力士たちは、平気で国に帰ったりするでしょ。

――それって、朝青龍のこと……!?

曙 僕らの時代では、考えられなかったことです。そもそも、テレビのスポーツ番組に出ることも、CMに出ることも禁止されていました。僕らが引退して以降、相撲人気が落ちたときに、テレビ出演が解禁になったんです。

――え~っ! ってことは、つい数年前からですか!

曙 かつては、相撲協会の理事長もムチャクチャ"力"がありました。「オマエらは黙って相撲を取っていればいいんだ!」という感じで……。

――力士は言いなりだった、と。2003年、曙さんは格式を重んじる角界から、リングの内外で派手な闘いをする格闘技界へ転身。習慣の違いに驚いたのでは?

曙 プロレスは、王者に対して、格下の選手がギャーギャー言える世界ですね。同じことを相撲界でやったら、殺されてますよ!

――ヒィ~!! 相撲もそうですが、今、プロレス人気も再燃しています。なぜだと思いますか?

曙 僕の正直な考えとして、格闘技はシンプルでわかりやすいものが良い、というのがあります。プロレスは一時期、作り込みが過ぎて、お客さんが離れてしまった。選手は試合の"白黒"より、もっと奥深いものを求めがちで、それは結果として良くなかった。今は"殴って、殴り返される"というシンプルな形になって、とても分かりやすい。それで、客足が戻ってきたのではと思います。

――一方、女性にもファンが増え、相撲も大ブーム。なぜ、そこまで注目されているんでしょう?

曙 今、"白鵬"という確実に強い、圧倒的な横綱がいて、その人を倒すために各力士が頑張っていますよね。"強い人が倒されること"を、見る人が望んでいることが、今の人気の理由の一つだと思います。

――白鵬関、強いです。

曙 それこそ、自分が現役の頃は、若乃花、貴乃花というライバルがいました。そういう中で、「明日も見たい!!」ってお客さんに言わせるような相撲を毎日、取っていました。本気でした。

――中でも、貴乃花との対戦通算成績は25勝25敗と、まったくの五分。まさに"ライバル"でした。

曙 今後の相撲人気は、倒したり、倒されたりという、白鵬のライバルとなる力士の出現にかかってるでしょうね。

――ただ、やはりファンは正直、"そのライバルには、日本人力士がなってほしい"という気持ちがあると思うんですが……。

曙 そう。それを、日本人力士が分かってない。今、日本人力士が優勝したら、全国区のヒーローになれますよ! だって、10年近く優勝してないわけでしょ(最後の日本人力士優勝は2006年1月場所の栃東)。こんなチャンス、自分なら絶対に逃さない!

――でも、そんな簡単に、優勝はできないのでは?

曙 難しくないですよ。気持ち次第! モンゴル人のほうが日本人より、肉体的に優れているわけではありません。ハングリー精神の違い! 日本も不景気ですが、モンゴルはそれ以上の不景気で、彼らは、母国の家族のために頑張るという気持ちがある。日本人力士は気持ちで負けてしまうのです。

――とはいえ、その中でも、注目の日本人力士はいますか? 今、話題の遠藤関なんて、どうでしょう?

曙 う~ん……遠藤は身体が小さいからなあ……大変だとは思いますネ。

――他には?

曙 (しばらく考え込む)稀勢の里には、期待してたんだけどなあ……。

――稀勢の里も、気持ちが足りない?

曙 そうだね。彼については、「出稽古に行っちゃダメ」という指令が下っているという噂を聞くんです。まったく、周りも何を考えているんだろう……。毎日でも横綱を訪ねて、殴られて、蹴飛ばされないと、横綱になれるわけがないんですよね。
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