現在で言うなら、何か打ち破ろうとしているのは内藤哲也ではないか。G1優勝実績もあり立場的には申し分ないのに、ファンはどこか内藤を見るのがじれったかった。

今年1月に私が棚橋弘至選手とトークライブをしたとき、内藤の現状に言及するトークがあった。会場にいたファンの多くが棚橋が内藤の名前を出したとき「ああ……」と声を出した。それは期待しているからこその裏返しの共感でもあったのだろう。

私個人の感想で言うなら、内藤はファンの目を気にしすぎな印象があった。それは内藤がいい人である証明でもあるのだが、ファンというものは難しいもので、そうなるともっとなりふり構わず自分に集中してほしいものなのだ。じれったい。

そして内藤はヒールへ転向した。この選択は成功だと思う。ベビーフェイスでいくら頑張っても客席からブーイングが飛ぶのであれば、ヒールに転向して「声援としてのブーイング」と相殺してかき消すことができる。その結果、本人は客席を気にすることなくのびのびと新境地を発見できる。

最近の内藤哲也は実に楽しそうだ。生き生きしてる。

どこまで新日本プロレスひっかきまわすのか、できるのか。新しい自分をどこまでつかめるのか。今の内藤をみることは、観客が自分を見ることでもある。人生に大きなヒントを与えてくれそうではないか。

内藤に注目である。

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