缶コーヒーは日本人の発明品

また、世界初の缶コーヒーを発明したのも日本人だ。1969年に発売が開始された『UCCコーヒーミルク入り』がそれで、
「UCC創業者の上島忠雄氏は、駅のスタンドでコーヒー牛乳を飲んでいるときに電車が来たため、飲み残しのビンを返さなければならなかったことにヒントを得て、いつでも持ち歩ける缶コーヒーを着想したそうです」(前同)

さらなる創意工夫は、日本人のお家芸。
「変わりダネ・コーヒーグルメなるものも存在します。名古屋市『加藤珈琲店』のコーヒーぜんざい、コーヒーあんみつや、東京・葛飾区『亜呂摩』で食べられる、麺にコーヒーが練り込まれたコーヒーラーメンなどはその代表格です」(同)

近年は外資系コーヒーショップのほか、コンビニやファミレスはもちろん、なんと回転寿司や牛丼屋でも美味しいコーヒーが飲めるようになってきた。
牛丼屋の『すき家』、回転寿司店『はま寿司』では、07年から販売を開始。同店ほか、多数の外食チェーンを擁する『ゼンショー』広報室によると、
「現地契約農園から直接仕入れた、フェアトレードコーヒーを使用しているため、高品質のコーヒーを1杯100円という低価格で販売できています。『すき家』では店内のマシンで1杯1杯、豆を挽いてから淹れているので、大手コーヒーチェーンと味の面でも負けていません。出勤前にコーヒーだけを買われるお客様も多いです」

コーヒー好きなら、わが家で飲むコーヒーにも、できるだけこだわりたいもの。
「美味しいコーヒーを飲むには、焼きたて(=焙煎したて)・挽きたて・淹れたての"3たて"が必要。どれか1つでも崩れると、多くの人が美味しくないと感じる味になります」
と前出の岩瀬氏が続ける。

「コーヒーの味を決めるのは7割が生豆の質、2割が焙煎、1割が抽出。そして最も重要なのは鮮度です。コーヒー豆は"生もの"と知ってください。焙煎から1週間も経過すると、嫌な味わいや香りが出てくるんです」

風味の決め手となる焙煎は浅煎り(ライト、シナモン)、中煎り(ミディアム、ハイ、シティ)、深煎り(フルシティ、フレンチ、イタリアン)の3部門8種類があり、浅煎りは酸味を強く、深煎りは苦みを強くする。焙煎後の豆は、温度が一定の涼しい場所で保存すると良いという。
「豆の挽き方には粗挽き、中挽き、細挽きの3種類があります。粉にすると酸化が早まるため、1週間以内が美味しさの限界」(前同)

コーヒーの抽出法にはサイフォン、フレンチプレス、エスプレッソ、ダッチ、ネルドリップなどあるが、家庭で手軽に美味しいコーヒーを楽しむにはペーパーフィルターを使ったハンドドリップがおすすめだ。

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