"四重苦"に陥った韓国経済

「借財の問題も深刻です。地方政府が手当たり次第に発行した債券の償還期間が迫っているんです。その額は、なんと360兆円。天文学的な借金です。また、金融機関が抱えている理財商品(高利回りの投資信託商品)220兆円の償還期日も近々に迫っています」(宮崎氏)

この莫大な借財に恐れをなした中国4大銀行は、50%の賃下げを断行するなど対応に四苦八苦だが、もはや焼け石に水。
「早晩やって来る経済の崩壊を見越して、中国の不動産や株式などに投資していた外国資本も一斉に逃げ出しています」(前同)

吹き荒れる大不況の嵐を前に、中国の楼継偉財務相など「今後5年間は厳しい状態が続く。もしかしたら10年間かもしれない」と、弱気な発言。

そんな落日の中国を象徴しているのが、"ヒト・モノ・カネが集まる東洋一の国際都市"と称された上海の衰退ぶりだ。
「繁華街・古北新区でひときわ輝きを放っていた仏資本の大型ショッピングセンター・カルフールは、かつて連日、長蛇の列をなしていましたが、今や閑古鳥。連夜、ネオン煌(きら)びやかだった"老外街(外国人街)"と呼ばれる歓楽街も、ネオンの数が激減しています」(在上海の商社マン)

中国指導部は人民元切り下げで輸出力アップを図ったが、これも効果薄。
「党がご都合主義で管理する"資本主義"が、あの国の正体ですから、淘汰されるべき企業が生き残り、そのために裏打ちのない莫大な金が市場に垂れ流されるわけです。ただ、もう、そうした禁じ手も万策尽きたと言えるでしょう」(シンクタンク関係者)

一方、中国に輪をかけて悲惨なのが韓国経済だ。
「韓国のGDPの輸出依存度は5割を超え、しかも輸出の4分の1は中国向け。頼みの中国が失速しているため、その影響をモロかぶりしているんです」(前同)

とりわけ自動車産業の状況は悲惨で、今年上半期の韓国車の対中輸出は前年比で3割も減少。さらなる逆風も。
「現代(ヒュンダイ)自動車が、落ち目の中国に工場2か所を建設するんです。この工場建設は政治レベルで決定したもので、現代自動車の一存で計画の見直しはできないものです。現代自動車の屋台骨を揺るがす事態に発展するかもしれません」(韓国事情に詳しいジャーナリストの室谷克実氏)

弱り目に祟(たた)り目とは、現在の韓国のためにある言葉。
「韓国経済は文字通り八方塞(ふさ)がりです。財閥系の企業は労務コストを削るため中高年の賃金をカット、若い非正規雇用を採用し、労務コストの圧縮を始めているのが現実です。そのため労務紛争が頻発しています。明るい材料は皆無。国内消費の低迷、賃金抑制、青年失業率の増加、そしてウォン高という"四重苦"状態ですからね」(前同)

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