その結果、辿り着いたのがダービーを勝った当時の強い競馬……後方待機から最後の直線にすべてをかけるというものでした。普段はいろんなケースを想定し、ゲートが開いてからもう一度、組み立て直すことが多いのですが、このレースに限っては、スタート前から乗り方を決めていました。
最後の直線、残り200メートルのところで、先頭との差はまだ7~8馬身。
――届くか!?
――届いてくれ!
想いは届き、最後は粘るステイゴールドをクビ差交わしての1着。その瞬間、勝ったうれしさはもちろん、「まだ、強かった」という喜びがこみ上げてきました。
今年のパートナーは、9戦8勝。前走GII「毎日王冠」を制し、勢いに乗っているエイシンヒカリです。距離の延長、さらに強くなるメンバー構成を考えると、楽な競馬にはなりそうもありませんが、スペシャルウィーク同様、戦法はただひとつです。今週末、みなさんと東京競馬場で喜びを分かち合えるように、ベストを尽くします。
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