「プレミア12」組で、ここにきて、メジャーからの評価を一気に上昇させているのが則本昂大(楽天)。「則本の鋭角に落ちるフォークの威力はプレミア12でも証明済み。ストレートは力があり、体力、精神力ともにタフなところが魅力です」(スポーツ紙デスク)

 ただ、欠点がないわけではない。178センチという身長だ。前出の福島氏が言う。「基本的に、メジャーは背の低い投手を好みません。ただ、則本に関しては、それを補ってあまりある魅力があります。プレミア12では、157キロを出してましたからね。メジャーの評価は高いです」

 もう一人「面白い存在」とメジャーから注目されているのが、武田翔太(ソフトバンク)だ。「武田のカーブは落差があって、一度浮き上がってから落ちる独特の球筋。現在のメジャーはスライダーとカットボールが全盛ですから、武田のようにカーブを武器とする投手には希少価値がある。そこがメジャーの狙い目でしょうね」(前出のスポーツ紙デスク)

「プレミア12」では本調子とは言えなかったものの、松井裕樹(楽天)は相変わらずメジャーの獲得リスト上位に入っているという。「事実上、プロに入ってからマスターしたチェンジアップをウィニングショットに使えるようにした能力は、ただ者ではありませんよ」(球界関係者)

 また、「プレミア12」での投球で「フォークのコントロールが素晴らしい」と評価を上げているのが増井浩俊(日本ハム)だという。「1イニング限定のセットアッパーなら面白いんじゃないかと、メジャーのスカウトが言い始めているそうです」(前同)

 阪神の藤浪同様、球団がポスティングを認めていないこともあってメジャー移籍の実現性は低いものの、メジャーから高く評価されているのが巨人の菅野智之。「彼は岩隈やマエケンと同じく、多彩な変化球をコントロールよく操ってゲームを作ることができる。この能力がメジャーから評価されるゆえんです」(スポーツ紙デスク)

 過去の実績もあって、メジャーから評価の高い投手陣に比べて、今ひとつ評価が低いのが野手陣だ。その理由について、前出の福島氏は次のように分析する。「過去の実績を見ても分かりますが、日本人のパワーヒッターは向こうでは通用しません。成功したのは唯一、松井秀喜ぐらい。イチローや青木宣親のように守備がよくて、単打を量産するタイプなら需要はありますが、日本人スラッガーは難しいでしょうね」

 特に、内野手の場合は、パワーのあるライバルがゴロゴロいるので、その中に割って入るのは難しい。外野手なら可能性がなくはない、というのが福島氏の見解だ。そういう意味で今、メジャーが最も高く評価しているのが、西武の秋山翔吾だという。「メジャーではイチローや青木に続くのは、秋山だといわれています。現役の日本の野手で、最もメジャーに近いのは彼でしょう」(福島氏)

 今大会には藤浪と同じくケガのため辞退したが、ソフトバンクの柳田悠岐も、秋山に次いで高い評価を得ている。「彼も外野手で、今年3割、30本、30盗塁のトリプルスリーを達成するなど、オールラウンドのプレーヤーとして、メジャーのスカウトから熱い注目を集めています」(スポーツ紙デスク)

 もう一人、今季、トリプルスリーを獲得した山田哲人(ヤクルト)はどうか。「松坂大輔などの代理人を務めたスコット・ボラスが、ファイブツールを兼ね備えた選手だと、山田を高く評価しています」(福島氏)「ファイブツール」とは、(1)アベレージ、(2)パワー、(3)スピード、(4)守備範囲の広さ、(5)肩の強さのこと。山田は、これをコンプリートしているということだ。「ただ、パワーヒッターとしては、メジャーでは通用しないかもしれませんし、内野手であることもマイナスポイントではあります。しかし、彼は23歳と若い。将来性を加味すれば、秋山、柳田と同等の評価をされても不思議ではないでしょう。何より、スコット・ボラスに評価されているのは大きい」(福島氏)

  1. 1
  2. 2
  3. 3