だが、安倍首相と菅官房長官は、06年に安倍氏が戦後最年少で一度目の首相に就任したときからの関係。「当時、菅さんが派閥を超えて“安倍応援団”を作ったことで安倍さんが首相になれたのは間違いない。そんな恩人でもある盟友を簡単に切るとは思えないのですが……」(政治部記者)という声もあるが、前出の官邸詰め記者は安倍首相が菅官房長官よりも今井秘書官を“選択”する理由をこう言うのだ。「菅官房長官は実力のある政治家で、安倍首相がいなくなっても永田町で大きな影響力を残せます。一方の今井秘書官は剛腕といえどもあくまでもイチ官僚で、安倍首相が下りれば権力の中枢から離れることになる。だから、安倍首相と今井秘書官は一蓮托生なんです」

 浅川氏はこう言う。「衆参ダブル選を巡り、安倍さんと菅さんの溝が深まる可能性は十分にある。10月の内閣改造でも、安倍首相は一時、稲田朋美・自民党政調会長を官房長官に起用すべく動いていました。(ダブル選後の)内閣人事で菅さんが交代させられるのは間違いないでしょう」

 その“ポスト菅”としては、稲田政調会長が有力視されているものの、永田町で密かに囁かれているのが、12月18日で任期が切れ、“一般人に戻る”橋下徹大阪市長だ。「橋下氏は一時は政治家を辞めますが、間違いなく来夏の選挙で国政に進出してくるでしょう。大阪維新が大勝利を収めた先の大阪ダブル選で、自民党本部は自党の候補を積極的に支援しなかった。それは来夏の衆参ダブル選での大阪維新の躍進を見越しての“協力”ですよ。見返りは当然、衆参ダブル選後の政権運営での連携です」(自民党関係者)

 憲法改正、原発再稼働など、安倍首相と橋下氏の考えは一致しているという。「大阪維新が衆参ダブル選で票を伸ばせば、橋下氏の官房長官起用も十分ありうる。そして、橋下氏と安倍首相との連携を画策したのも今井氏だといわれているんです……」(前同) 永田町の裏側では、さまざまな魑魅魍魎が蠢(うごめ)いているのだ――。

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