朝鮮半島専門誌『コリア・レポート』編集長の辺真一氏は、こう言う。「北朝鮮は核実験をカードにアメリカと交渉し、有利な条件を引き出そうとしてきました。しかし、アメリカが一向に乗ってこないため、核実験というカードが使えないことを思い知ったところでした」

 とどのつまり、核保有は種々様々な交渉カードの一枚だというのだ。だが、その力は非常に強く、魅力的なもののようだ。「そこで、オバマ大統領を相手にせず、(核拡散防止条約へ未加入ながら核保有国である)インド、パキスタンと同様の道を選択せざるをえないと判断したのです」(前同)

 なるほど、「国際社会に認められなくても、核を持つ!」と、北朝鮮は強行突破を仕掛けたのだ。だが、身のほど知らずの暴走を続ける北朝鮮を周囲の国が放っておくはずもない。韓国政府は、南北国境付近で軍事宣伝放送をすぐに開始。北朝鮮の体制を批判するアナウンスをK-POPとともに大音量で流したが、国際社会では「そんなんじゃ甘過ぎるだろ‼」と、“強硬論”が続々と噴出しているのだ。

「1月12日、アメリカの議会下院は、北朝鮮への経済制裁を強化する法案を賛成多数で可決。日本政府も同様に、経済制裁の強化を検討しており、正恩への資金ルートを断つべく根回しを進めています」(前出の全国紙政治部記者)という経済制裁の話はご存じかもしれないが、驚くなかれ、日本政府がさらなる一手として動き始めているのが“日本海”だという。外交評論家の井野誠一氏が、こう言う。「このところ、日本国内に流通する覚醒剤の中で、北朝鮮製のものが増えているとの情報が、しきりに流れています。かつてのような“安かろう悪かろう”というものが多いという状況ではなく、需要は減らず、流通量も安定しているようです」

 海を越えて、安倍ニッポンを襲う北の闇経済。依然として、その規模は非常に大きいようで、「北朝鮮国内では、“チャンマダン”と呼ばれる闇市場がはびこり、今では、生活物資の6~7割が“チャンマダン”で取引されているといわれます。中でも、闇市場の最大の収入源が麻薬ビジネスです」(通信社OB)

 では、それをどうブッタ斬るのか? 「瀬渡し(海上での投げ入れなど)が主な搬入ルートとみられており、そのため、海上保安庁が海と空から監視を続けています。目下、尖閣方面にかなりの数の艦艇と航空機を投入しているため、日本海側が手薄になっているとの指摘もあり、今後、改めて警戒、監視を強化する模様です」(前出の井野氏) まずは闇ルートを遮断して、北朝鮮経済に打撃を与える作戦だ。

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