実際、巨人の澤村拓一投手は11年オフに球威アップのために本格的な肉体改造に着手。前年から7キロ増の97キロで開幕を迎えた12年シーズンは、前年の11勝(11敗)を下回る10勝(10敗)。9月にはプロ生活で初めて登録を抹消され、投球回数も前年を下回った。大谷と澤村では「モノが違う」(デスク)と言ってしまえばそれまでだが、一抹の不安は拭えない。「体重を増やしたら、重い球が投げられるとか、そんな単純なものではありません。場合によっては、球速が落ちるかもしれないし、球質も変わってしまうかもしれない。それでも、強靭な肉体を作り上げなければ高いレベルでプレーすることはできません。ヒョロヒョロの体でメジャーに行ったら、すぐに壊れてしまうのは目に見えています」(前出の橋本氏)

 メジャーは投手を酷使する。中4日の登板スケジュールや、長距離遠征の連続という過酷な条件に耐えられる体を作っておかなければならないのだ。ダルビッシュの助言もあり、大谷は将来のメジャー挑戦を考慮して、今のうちから手を打ち始めたというわけだ。

 では、いったい、いつメジャーに挑戦するのか? 肉体改造のシーズンに好成績を挙げて、その年のオフにメジャーに行ったダルビッシュのケースが再現されるなら、この16年シーズン後となるのだが……。「これまで、日本人投手が入団5年目までにメジャーに渡った例はない」(スポーツ紙デスク)

 だが、大谷はその前例を破るかもしれない。「日本の球団には入らないと言っていた大谷を、日本ハムが無理やり指名したという特殊な経緯があるので、両者が通常では考えられない契約を結んでいても不思議ではない」(ベテラン記者) 近い将来、大谷がメジャーに渡るとした場合、とてつもないマネーゲームが繰り広げられる可能性があると、前出の福島氏が言う。「12月にニューヨークの地元紙が『大谷獲得を見据えて、ヤンキース、マエケンから撤退』という内容の記事を載せましたが、あれは真実です。大谷の獲得には、200億円のマネーが必要といわれていますので、今は無駄な出費を避けた。マエケンを獲得したドジャースが年俸を低めに抑えたのも、同じ理由です」

 福島氏によれば、大谷は、「マエケンはおろかダルビッシュよりも田中将大よりも評価が高く、メジャーの全30球団が手を上げてもおかしくない存在」と言う。それは、彼の投げる球が一級品であることはもちろん、若さ、背の高さ、日本球界に酷使されていないことなどが主な理由で、「FA史上、最高値がつく」(福島氏)ことは確実だと言うのだ。

 13年に制定された現行のポスティングシステムの上限は2000万ドル(約24億円)だが、この金額は16年オフに改定されることが決まっており、大谷争奪戦を前に撤廃される可能性がある。今シーズン、肉体改造を果たした大谷が、マー君の渡米前の13年の記録(24勝0敗)に匹敵する成績を挙げ、史上最高金額で海を渡る!?

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