一方の金本知憲新監督はどうか。周知のごとく、自チームのファンから熱烈な歓迎を受けているという点では高橋と同様だが、金本は阪神の生え抜きではない。03年、当時の星野仙一監督に請われる形で広島から移籍してきた外様である。だが、移籍してきた年に、いきなり優勝の原動力となり、1年置いた05年にも優勝の快感を味わわせてくれたことで、ファンは金本を支持するようになった。そして、試合中に見せる、ケタ外れのド根性に魂を揺さぶられた。

 08年5月7日、東京ドームでの対巨人戦。金本は、木佐貫洋投手の鋭い速球を後頭部に受けて倒れる。誰もが、当時、継続中の連続試合フルイニング出場記録を懸念したが、ベンチに運ばれてから5分後、平然と現れた金本の姿に観客から歓声が沸き起こった。

 そして次打席、金本は門倉健投手から、なんと片手で本塁打を放ち、観客のド肝を抜いた。「そんな責任感の強い金本は、いつしか“アニキ”と慕われるようになり、生え抜きと同じように、いや、それ以上の存在となったんです」(全国紙記者)——両者の人気は、まさに五分と五分。2人のファンの熱気で、伝統の一戦が、さらに盛り上がることだけは間違いない。

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