「この地域は、何百年と地震が起きていません。つまり、その間、ストレスがかかり続けているんです。それゆえに、ここで大地震が起きれば、東日本大震災レベルの巨大地震となる可能性は捨てきれません」(同) そうなれば、関東、東海を中心に大津波が発生することは間違いないだろう。木村氏は、この時期を2012年±5年と予測している。この説に則れば、タイムリミットはあと1年だ。さらに、この伊豆諸島沖地震が発生した場合、もう一つの脅威をもたらすとも言われている。それが、富士山の噴火だ。

 木村氏は、伊豆諸島沖の地震が富士山の大噴火を誘発する可能性を指摘しており、その時期を2014年±5年と予測している。実は、伊豆諸島をはじめとした相模トラフ周辺の火山帯は、これまで噴火を繰り返しているが、富士山だけは、1703年に元禄地震が起きた4年後の1707年宝永地震が起きてから、300年以上も活動が止まっている。だが、完全に眠ってしまったわけではない。前出の長尾氏は言う。「火山を人間の年齢に例えれば、富士山は20歳前後の若い火山です。いつの日か100%噴火します。時期については分かりませんが、私は首都圏直下型、あるいは東海、東南海地震が起きた際に、誘発するのではないかと見ています」

 最近の研究によれば、富士山が有史以来、最も規模の大きな噴火を起こしたのが、冒頭に記した864年の貞観噴火。推定14億トンのマグマを噴出し、もともと一つだった精進湖と西湖を分断してしまうほどの規模のものだった。そのことから、このときの噴火は、溶岩流を伴う「割れ目噴火」だったと推定されている。

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