国民生活センターに寄せられた相談のいくつか実例を挙げよう。
●マッサージチェアを体験したら、腕もみ機能で腕が腫れた(70代男性)
●フットマッサージャーを使っているとき、停止ボタンを押したところ、足が強く挟まれたまま停止した。今も足がしびれたような状態が続いている(30代女性)
●販売員に勧められてベッド型マッサージ器を試しに使ったところ、痛みがあった。止めてほしいと頼んだが、聞き入れてもらえなかった。これで背骨を傷め、直後から、まっすぐ立てなくなった。今は寝返りも打てない状態になっている(60代女性)
●首や肩に掛けるタイプのマッサージ器を高齢の母親に使用したところ、肩と胸を骨折した(50代女性)
「マッサージ器の相談はここ数年、増加しています。特に骨や関節がもろい高齢者が、家庭用マッサージ器で事故に遭うケースが増えています」(国民生活センター・広報部) 前出の小林院長によると、家庭用のマッサージ器で強くやり過ぎたり、長時間使用することで、筋肉や関節などを傷めるケースが多いという。「マッサージをしながら眠ってしまい、筋を違えたという患者さんがけっこう多いですね」(小林院長)
肩や首が凝る人の中には、奥さんや子どもにマッサージをしてもらう方もいるだろうが、これも事故の元になりうる。「子どもに背中を踏ませて背骨を傷めるケースや、ダンナさんに肩を揉んでもらい筋を違えたという方がいます。素人マッサージはしないほうが無難です」(同) 特に、首のマッサージは危ないという。「首には様々な血管や神経が走っています。首をきつく揉みすぎて頭痛になったり、最悪の場合、血管を傷め、脳卒中などを引き起こす恐れもあります」(前出の武井院長) 肩が凝ったから軽く揉んでもらおう。本来、気持ちがいいはずのマッサージが、とんでもない事故を引き起こすこともある。くれぐれも、ご注意を!