これに対して党内からは、「抜本的な党名変更はもちろん、執行部も一新すべき」(民主党関係者)という声も出始めているという。民主党大阪府連などは、新党結成後に、代表選(来年9月予定)を前倒して実施するよう求める緊急要望書を岡田代表に提出している。「細野豪志政調会長や前原誠司元代表といった党の重鎮は、合併を渋っていた岡田代表の寝首をかく計画を立てていたのです。無為無策のまま参院選に惨敗すれば引責辞任するしかなくなるので、そこで代表の座を奪う算段だったわけです。ところが一転、岡田代表が維新との合流を決断したため、細野、前原の両氏の目論みは外れてしまった。ただ、この2人が巻き返しを狙い、執行部一新の動きが強まれば、新民主党は空中分解してしまうでしょうね」(前同)

 オール野党の核となる民主党が、この体たらく。一方、その民主党との合併に突き進む維新の党の松野頼久代表は、“政界寝業師”の異名を取る曲者だ。「父親の松野頼三氏(自民党総務会長や防衛庁長官などを歴任)も寝業師といわれた政治家。頼久氏は民主党公認で初当選し、鳩山由紀夫元首相の官房副長官を務めました。ところが、民主党が失速すると、当時上り調子だった維新に逃げ込みました。党内では“信念のない風見鶏”と揶揄する人もいます」(前出の民主党関係者)

 それだけに、今回の合併にも、反安倍の大義よりも個人的な思惑が見え隠れしているという。「民主の候補の場合、ポスター貼りなどを連合の関係者が手伝ってくれます。松野氏は民主党を離党した後の選挙で、彼らが助けてくれることのありがたみを痛感したそうです」(前同) これでは、合流しても、「野合にすぎない」(自民党中堅議員)と批判されるのもうなずける。

 政治評論家の浅川博忠氏が、こう続ける。「まず、(野党連合の)政策協定があいまい。反自民だけが共通点です。ただ一点評価できるのは、共産党が参加していること。一強の安倍政権下にあって、対極の地位を確かなものとし、近年の地方選挙で議席を伸ばしています。共産党の躍進と野党連合の歯車が噛み合えば、参院の1人区で自民党候補者を破ることができるかもしれません」

 今夏の参院選から選挙権が18歳に引き下げられることも、共産党には“追い風”だという。「安保法制に反対するデモで名を売った学生団体のSEALDs(シールズ)は、永田町では共産党委員長の名と掛けて、“シールズ=志位ルズ”と呼ばれています。共産党は貧困問題に取り組む姿勢を見せるなど、学生や若者に取っつきやすいマニフェストが多い。SEALDsのような運動を一部党員がバックアップしているとの噂もあり、学生や若年層に確実に支持を広げているのです」(前出の自民党中堅議員)

 とはいえ、自民党には“共産退治”の秘策があるという。それが連立を組む公明党の存在だ。「公明党の支持団体である創価学会と、共産党の支持層は重複するケースが多いため、学会員に共産党の牙城を切り崩させる戦術です」(前出の全国紙記者)

 民主党内からも、公明党を警戒する声が上がっているという。「公明さんは、“対共産”となると、昔から躍起になるところがありますからね。わが党の議員の中にも、選挙の際に地元の学会票を当てにしている者が、かなりいます。そうした事情からも、公明さんと敵対する共産と組まないほうがいいという意見があるのです」(前出の民主党関係者)

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