実際、本誌も取材を進めてみると、裏稼業ドライバーがいるわ、いるわ……。中でも最も多かったのが、“白タク”だ。白タクとは、必要な許可を受けずに、自家用車を使って“タクシー営業”すること。当然、道路運送法違反という違法行為で、最高罰則は懲役3年というリスクがあるのだが、実際のタクシーより料金を割安に設定しているため、需要はあるのだという。「たびたび警察によって摘発される白タクですが、個人のみならず組織的に営業しているグループもあり、中には年間数億円もの売り上げがあるグループまであるんです」(全国紙記者)

 その白タクは、大きく2つの形に分けられるという。一つ目は路上で営業するタイプで、タクシー利用者が多い地域で呼び込みをして、客を募るのだという。「特に、都心南部のS駅や有名繁華街近くのD橋付近に多くいて、“横浜方面行きませんか?”などと声をかけて複数の客を集め、ワンボックスなど大きめの車で送迎します。タクシーと違って一人ではない分、料金が安くなり、利用者も集まるんです」(前同)

 とはいえ、このやり方では人目につきやすいので、どうしても摘発されやすい。そこで生まれたのが、もう一つのタイプだという。「携帯電話で馴染みの客からの要請のみ受けるんです。これだと、一見しても分からないので、摘発も難しい。利用者の口コミに頼る部分が大きいんですが、中には“韓国人限定”などと謳うケースもあります。実際、2014年3月には、韓国語が通じるのを売りにした白タクグループが警視庁に摘発され、年間売り上げが数億円規模だったことが判明しました」(同)

 また、裏稼業ドライバーで忘れてはいけないのが、運び屋だ。「“物を運ぶだけで5万円”などとネットなどで募集し、希望者の自家用車やレンタカーを借りさせるなどして、物を運ばせるだけと至極単純。とはいえ、もし中身が普通の物であれば、業者に頼めばいいわけですから、このようなケースは大抵、薬物や拳銃の運搬でしょう」(捜査関係者)

 しかし、知らぬ間に犯罪の片棒を担がされる場合もある。「正規の宅配業者を装って“繁忙期だけの期間アルバイト”などと謳って、働き手を募集。しかも、バイト代が時給1100円など相場通りだったら、誰も怪しまない」(前同)

 また、裏社会ジャーナリストは、Nシステムかく乱目的の運転アルバイトがあると話す。Nシステムとは、自動車ナンバー自動読み取り装置のことで、道路上に設置された、通行車両を記録する装置のことだが、これを“かく乱”させるとは、どういうことなのだろうか。「一般的には、警察が犯人特定の際に使われると思われていますが、反社会組織やフィクサー、有力宗教関係者などの動向を把握するためにも利用。彼らが、どこに移動しているかをチェックしているんです。行確(行動確認)される側は、平常時は監視されていてもいいんですが、たとえば、別の反社会組織との接触があるとか、あるいは抗争やシノギで身を隠したいとか、そういうときもある。その際に、普段使っている車を意図的に別の地域で走らせることで、警察の目を欺かせることができ、その場合にドライバーを雇うケースがあるんです」

 もちろん、この場合のお値段はピンキリだが、このジャーナリストが聞いた中での最高額は、都内を10時間移動し続けて、10万円。しかも、5日連続だったため、1週間足らずで50万円も稼いだという。「“N”をかく乱すればいいからといって、首都高をずっとグルグル回っていればいいというわけではありません。防犯カメラがない駐車場で駐車したり、事務所の関連施設近くの路上で停車するなど、“それっぽく”運転しなきゃならないんです」(前同)

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