ところが、前出の井野氏は北朝鮮が「全土の要塞化と主要施設の地下化」をすでにかなり行っているゆえ、そうとも言い切れないと驚くべきことを話すのだ。「金正恩第1書記の祖父、金日成主席時代から続けられている一つが、全土の要塞化と主要施設の地下化です。この間、主要な軍事施設、研究・貯蔵施設、非常用の備蓄(食糧、薬品など)の多くは地下に埋設されてきました。そして、その構造はもろもろの貫通兵器の改良、進歩に伴い、より深く、より複雑化しているといいます。今日、その地下空間は全国に広がっているとされています」

 さらに続けて、「この地下都市の存在は、現在、公にされているシェルター以外、一般的には知られていません。しかし、できる限り多くの者を長く生存させること、そして金体制の統制システム=“大本営”機能を維持するために、その存在が、ますます拡大されているのは事実です」

 一説では、その地下都市は地下約300メートルの所にあり常時、15~20万人が生活でき、ハイウェーや地下鉄も走っているとも言う。このように、狂気の一方で、用心深さも併せ持つ北の独裁者。「金第1書記は自分の側近、自分に忠実な選ばれた一部エリートさえ生き残れば、他の約2300万人の国民は死んでも仕方ないと思っているでしょう。しかも、国連安全保障理事会での過去に例のない厳しい制裁決議に基づいて、日本も含め各国が本格的な制裁処置を取るのは、これからです。つまり、今後、北朝鮮、そして金正恩の孤立化はさらに深まるわけです。もう、暴発は目の前かもしれません」(国際部記者) 独裁者の孤独が核の暴走を招かないことを祈るばかりだ――。

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